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このやぼに火を入れ申す−椎葉村

本紙掲載日:2023-07-28
3面
甲斐さん(前列右)の口上に合わせて火入れの祈りを唱える児童ら
火入れをする6年生
焼畑の様子をスケッチする下級生ら

尾向小児童−伝統の焼畑体験

◆6年生が火入れ10月に収穫

 椎葉村不土野の尾向小学校(宇都宮浩校長、20人)は27日、向山日当上の田んぼ跡地で焼畑体験学習を行った。世界農業遺産にも認定された伝統農法を学ぶ同校の一大イベントで、保護者や地区の青年団、同小卒の中学生ら約80人の協力を得ながら体験した。

 午前8時に学校に集合した一同は、10分ほど離れた焼畑地(約50アール)へ車で移動。この日は好天だったが、一昨日に雨が降ったため、すぐに火入れとはいかず、保護者らが湿った木々を持ち上げて広げる作業を行い、1時間ほど天日に当てて待機した。

 その後、開会行事を実施。宇都宮校長は、体験学習が今年で35回目を迎えたことや、この日のために地域の人たちが木を切って整備を進めてきたことを伝え「6年生は初めての火入れ、頑張ってください。下級生はしっかりと6年生の様子を見ていてください」と呼び掛けた。

 神事では、甲斐こころさん(6年)が「このやぼに火を入れ申すへびわくど虫けらども早々にたちのきたまえ山の神さま火の神さまどうぞ火の余らぬようまた焼け残りのないよう御(おん)守りやってたもり申せ」と火入れの祈りを唱えた。他の児童も声をそろえて復唱した。

 火入れは、代々6年生が担当しており、今年は2人で作業に当たった。たいまつを用いて草木に点火するも、湿りの影響で一気には燃え広がらず。それでも保護者らの指示に従いながら懸命に火を付けて回った。

 その間、下級生らは、竹がはぜる音や白煙があがる様子を興味深く観察しながらスケッチ。中学生による消火活動後、児童全員でソバの種まきを行った。

 甲斐さんは「去年の6年生が熱そうにしていたけど、実際にやってみると想像より熱くて大変だった」。石井敦大さん(同)は「火入れは6年生しかできないので楽しみにしていたけど、あんまり燃えなくて悔しい。植えたソバはたくさん実ってほしい」と話した。

 同小では今後、10月にソバの収穫、11月には収穫祭と発表会を行う予定という。

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