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山脇幸人さんインタビュー・初の凱旋公演

本紙掲載日:2023-08-31
6面
インタビューに答える山脇幸人さん

10月14日、延岡総合文化センター

◆とにかく音楽やり続ける

 新進気鋭の若手指揮者として注目を集める山脇幸人さん(31)が10月14日、ふるさと延岡市で初の凱旋(がいせん)公演を行う。チャイコフスキー作曲の交響曲第5番などオール・ロシア・プログラムで、中部フィルハーモニー交響楽団(=中部フィル、愛知県)のタクトを振る。同公演への意気込み、ふるさとへの思いなどを山脇さんに聞いた。

◇幸せ共有できる指揮者に

−−生まれ育ったふるさとで初の凱旋公演です。

ひと言で言うと、感謝の気持ちでいっぱいです。中学生の時に出会い「指揮者になってみないか」と勧めてくれた椛山達己先生(故人)をはじめ、県北ゆかりの音楽団体、音楽家の皆さん、その一つ一つが支え合い、重なり合った上で、今の僕ができているのかなと感じています。その感謝の気持ちを音楽で表し、音楽で恩返しできたらと思っています。
椛山先生から教わった言葉があります。「われわれは優秀な音楽家になる前に、故郷を愛する人間にならなければならない」。有名な指揮者レナード・バーンスタインの言葉です。
2020年にプロデビューしてから、この言葉を胸に各地のオーケストラとご一緒させていただき、いろいろな経験を培ってきました。今回の演奏会では、ふるさとの皆さんに一回り成長した自分を見せることができればと思っています。

−−オール・ロシア・プログラムです。聞きどころを教えてください。

ロシアという国の広さ、迫力、雄大さ、それを物語っているのが今回のプログラムです。チャイコフスキー作曲の歌劇「エフゲニー・オネーギン」より「ポロネーズ」、ストラビンスキー作曲の組曲「火の鳥」(1919年版)、チャイコフスキー作曲の交響曲第5番を演奏します。
このうち「火の鳥」と交響曲第5番は、プロオーケストラの演奏会でも、なかなか一緒に聞く機会がない、それだけどちらもすさまじいエネルギーを持った曲です。
そして、指揮者としても奏者としても、すごく体力と精神力が求められる曲です。僕もこのプログラムを目にした時は正直「おお、すごい曲が組まれたな」と。ただし、すごくやりがいがある曲です。
メインの曲が二つあると思っていただいて結構です。本当に、すごく貴重な機会だと思います。

−−中部フィルは、どのようなオーケストラですか。

中部フィルは愛知県小牧市を拠点に活動しているプロオーケストラで、昨年ぐらいから小学校の音楽鑑賞教室などでご一緒する機会が増えています。
その時に感じるのは、すごく音楽を身近に感じられるオーケストラだということ。クラシック音楽は、どうしても「ハードルが高い」と思われがちですが、中部フィルには、それを感じさせない、とてもアットホームな雰囲気があります。
昨年6月のことです。小学校の体育館で演奏会があったのですが、子どもたちも水筒を片手に水分補給をしながら演奏を聞くくらい、とても暑い日でした。
そんな中、情けないことに僕が熱中症にかかってしまって。指揮者なしでやるか、どうするかという状況の中、子どもたちは目をキラキラさせて待っています。そんな子どもたちに「きょう、指揮者はいません」と伝えることは避けたくて、「僕がやります」と、どうにか振りました。
通常だったら黒シャツとかワイシャツとか、ちゃんとした服装なのですが、その時だけはTシャツで振らせてもらいました。それでも、中部フィルの皆さんは「よく振れたね」「良かったね」と言ってくれて。そんな温かみのあるオーケストラです。

−−今回の演奏会は、どのような経緯で企画されたのでしょうか。

「オーケストラ・キャラバン」という文化庁の事業で、初めの企画段階では、僕は宮崎市内で開かれるとばかり思っていました。そしたら、まさかのふるさと延岡で。それを知った時には本当に驚きました。すごいご縁だなと。
加えて9月29日には、サントリーホール(東京都)デビューが決まっています。「コンサート・オブ・コンサーツ」(NTTデータ主催)という演奏会で、ジャパン・ヴィルトゥオーゾ・シンフォニー・オーケストラを指揮します。日本各地のオーケストラのコンサートマスターや首席奏者らトップ・オブ・ザ・トップが集結した、夢のようなオーケストラです。
こちらはサンサーンス作曲の交響曲第3番オルガン付きなど、色彩豊かなフランス音楽のプログラムです。
サントリーホールデビューが決まり、その後、ふるさとでの凱旋公演が決まった時には、所属事務所と一緒に喜びましたね。「なんて一年だ」「今が人生の天王山だぞ」と。人生のターニングポイントにあると感じています。

−−大きな演奏会を控え、忙しい中での今回の帰省です。

実は9月からこの凱旋公演にかけて毎週、異なる演奏会の本番を控えています。9月は大阪、姫路、北海道、東京、そして29日のサントリーホールでの演奏会。10月は岡山、そして14日の延岡での凱旋公演と続きます。
こういうふうに指揮者というのは全国津々浦々、旅をさせていただきながら、なおかつ音楽ができる、本当に幸せな仕事です。

−−改めて、どのような指揮者を目指したいとお考えですか。

決して大きいことはできないかもしれませんが、例えば演奏会であれば、同じ時間と空間を共有している人たちと「音楽ってこんなに素晴らしいものだよね」「音楽ってこんなに温かいものだよね」と幸せを共有できる、そういう指揮者になりたいと思っています。
手の届く範囲でしかできないのかもしれません。それでもクラシック音楽が持っている力というのは、とてつもないものだと思っています。それは、大きく言ってしまえば本当に世界を平和にできるほどの力を持っていると、僕は思っています。地球上の人たちみんながクラシック音楽を愛せば、戦争とか、そういうものもなくなると思っています。

−−高齢化やコロナ禍で存続の危機にある地元の音楽団体もある中、山脇さんの活躍に希望を感じる人は多いのではないでしょうか。

僕はふるさと延岡に、懐の深さを感じています。ずっと夢を持ち続けてこられたのは、そんな延岡の皆さんのおかげでもあります。
僕ができることというのは、こうやって地元に帰ってきて、恩返しをする演奏会を開いて「僕は元気です」という姿を見せること。とにかく音楽をやり続けることが大事だと思っています。

【プロフィル】山脇幸人=延岡高校、東京藝術大学音楽学部指揮科を卒業後、バイエルン州立歌劇場で研修生(2015〜16年シーズン)として研さんを積む。その後、NHK交響楽団で首席指揮者パーヴォ・ヤルヴィ氏と同交響楽団のアシスタント(19〜20年シーズン)を務めた。ロンドン・クラシカル・ソロイスツ指揮者コンクール第1位、第1回マスタリング・ヨーロピアン・マスターズ国際指揮者コンクール第2位。パシフィック・コンサート・マネジメント所属。31歳。

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