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第1回懇談会、現地調査も−県
昨年9月の台風14号で甚大な被害を受けた耳川流域の整備計画を策定するに当たって、県が学識経験者から意見を求めるための「第1回県河川整備学識者懇談会」(会長・杉尾哲宮崎大学名誉教授、12人)が14日、美郷町や日向市で行われた。委員6人や関係者らが現地視察を行った後、県が示す素案について意見を述べた。
台風14号では、2度の線状降水帯が発生し、椎葉観測所は最大24時間雨量628・5ミリ、諸塚観測所は同575ミリで歴代1位の雨量を記録。美郷町西郷の和田地区で14軒の住宅や事務所が床上浸水するなど、耳川流域各地で浸水被害が発生した。
河川整備計画は国や県が河川整備内容を示すもので、耳川水系河川整備計画は2004年に策定された。その後、05年9月の台風14号による洪水被害などを受け、21年に計画を変更している。
この日の懇談会は、2回目の変更に向けて開かれたもので、宮大教授や県環境保全アドバイザーなど委員6人、県河川課、日向土木事務所の職員ら計約30人が出席。資料を見ながら被災地区3カ所と西郷ダムを現地調査した後、素案内容を議論した。
県は、計画の対象期間はおおむね20〜30年とし、従来の耳川本川河口地点―八重原橋下流(17・8キロ)と柳原川合流地点―山瀬橋下流(3・5キロ)の計21・3キロに、今回、外水被害が発生した八重原橋―柳原川合流地点(32・95キロ)を追加した計54・25キロを「施行区間」として位置付けると説明。
和田地区などの河川工事については掘削および築堤、宅地かさ上げの方法があり、地域住民の要望を踏まえて施工法を検討することなどを示した。
学識者からは「資料では外水被害か内水被害か分からない」「樋門(ひもん)操作ができなかった理由は何か」「計画期間が10年から20〜30年へ変更した理由は何か」「生物調査の比較もあって貴重なデータだが、もっと環境に考慮する文言を入れた方がよい」などの意見や要望が出された。
会合後、県土整備部河川課の前田秀高課長補佐は「懇談会は将来の事業化に向けた取り組みの一環。きょうの意見を反映し、できる限り早い時期に事業に着手できるよう関係者と調整を図っていきたい」と話した。
今後は、学識者の意見や地元説明会での内容を踏まえて計画の原案を作り、第2回懇談会を開く。河川整備計画策定は年度内を目標に進めていくという。