２月１１日、おくりいえ－築８２年「後藤邸」

本紙掲載日：2020-01-31

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ライトアップされた後藤邸（２８日、午後６時２０分ごろ）

延岡市東本小路近代和風建築－３月末に取り壊し、たたずまいを記憶に

◆建築士会延岡女性委員会など

　延岡市東本小路の野口記念館跡地北隣にある民家「後藤邸」が、野口遵記念館建設に伴って３月末に取り壊される。１９３８年に建てられてから８２年。「改めて価値を知り、美しい建築のたたずまいを記憶として残したい」と「おくりいえ」が２月１１日に行われる。イベント当日まで午後５時３０分～１０時に後藤邸をライトアップ中。敷地内に立ち入ることはできないが、外観から昭和の建築様式を見ることができる。

　同プロジェクトは、県建築士会延岡支部女性委員会「きらら延岡」（遠藤啓美代表、１４人）らが主体となってつくる「のべおかヒカリデザイン実行委員会」が主催。

　同実行委員会は昨年２月、野口記念館の建て替えによる閉館を前に、夜間照明によって魅力を創出しようと活動する「宮崎をひかりで変える委員会」の協力で同館のライトアップを実施。今回は、建物に感謝の気持ちを込め、最後を彩って見送る「おくりいえ」の要素を加えて実施する。

　実行委員会によると、同邸は「近代和風建築」の建物。「銘木の中の銘木」と言われ樹齢１００年以上の柿にしか見られない「黒柿」の柱が床の間に使用されていたり、欄間などの指物（さしもの）が各所に見られたりと、ぜいたくな造りが各所に見られる。

　また、長い廊下の先に離れがあり、２部屋続きの客間が見られること、５間ほどの長さの継ぎ目がない木が使われていること、板戸ではなく全面ガラス戸が使われ、広い日本庭園を見渡せることなど、当時流行した建築様式が各所に見られる。

　昨年４月まで後藤愛子さん（９７）が暮らしていたが、野口記念館の解体に伴い転居。現在は、長男の泰さん（７２）が管理している。

　遠藤さんらから同プロジェクトを提案された泰さんは喜んで受けたそうで、昨年末から庭の除草作業や荷物の整理、大掃除をして「人を迎える準備をした」。さらに、ライトアップを前に同実行委員会も清掃した。泰さんによると「みんなが集う場所だった」「よみがえってうれしい。昔の自分の記憶に戻った感じ」と喜んでいる。

◇当日午後２時から内部を公開

　イベント当日は、午後２時から内部を公開。自由に見学できる。同２時３０分からは同邸の離れ（客間）を会場に講演会がある。

　泰さん（７２）が思い出話を語るほか、同市教育委員会文化課の増田豪さんが「周辺建築の歴史的変遷」、同委員会の岩本愛さんが「後藤邸の歴史的価値」についてそれぞれ話す。

　第３部は座談会を予定している。同４時３０分からは音楽ステージ。市内の音楽家がバイオリンやマンドリン、サックスフォーン、フルートなどを演奏する。同５時３０分に最後のライトアップを行う。

　講演会の参加希望者は、名前と連絡先を建築士会延岡支部事務局（℡延岡３５・３９００、ファクス延岡３５・４７７１、メールｋｅｎｃｈｉｋｕｓｈｉｋａｉｎｏｂｅｏｋａ＠ｙｂｂ．ｎｅ．ｊｐ）に申し込む。火、土、日曜は定休。当日は、市役所第２駐車場（市役所西側）が利用できる。