【お知らせとおことわり】

 夕刊デイリー新聞ならびにYUKAN-DAILY-WEBを
ご利用いただきありがとうございます。

 著作権保護のためWEBブラウザ上からの記事・写真の
ダイレクトプリントができないようになっております。
ご了承下さい。

 サイト内の写真は本紙に掲載されたものですが
本紙掲載分の写真については以下のような規定があります。


 夕刊デイリー新聞社は、本紙に掲載された写真の提供サービス(有料)をしています。

 スポーツで活躍した場面の写真、ステージでの発表会、さまざまな行事で新聞に掲載された写真をご家族の記念に保存されてはいかがですか?

 写真は本紙記者がデジタルカメラで撮影したもので、新聞紙上では白黒でも提供写真はカラープリントです。

写真のサイズと料金は次の通りです。

▽L  サイズ 1枚 300円
▽LL サイズ 1枚 500円
▽A4 サイズ 1枚 1,200円
(A4サイズはラミネート加工もできます。ラミネート加工は500円追加)


L  サイズ
(8.9×12.7センチ)
1枚 300円
LL サイズ
(12.7×17.8センチ)
1枚 500円
A4 サイズ
(21×29.8センチ)
1枚 1,200円
(ラミネート加工は300円追加)

 提供できない写真もありますので、まず、本社にお電話をください。
 掲載日などをお聞きし写真を確認した上で準備します。

 受け渡しは、本社または支社、支局に来社していただくことになります。
 写真によっては提供サイズが限られる場合があります。
 また、事件、事故、災害、選挙、肖像権に関係する写真や本社に版権のない写真は提供できませんのでご了承ください。

 写真は個人的利用に限ります。 印刷物などに用いることはできません。

 写真提供サービス開始とともに、これまでの貸し出しサービスは終了します。


 お問い合わせ、お申し込みは
 本社(電話番号 0982-34・5000、平日は午前9時−午後5時、土曜は午前9時−午後3時)へお願いします。

 

中小企業事業承継を円滑サポート

本紙掲載日:2020-03-07
8面

休廃業…その前に−県事業引継ぎ支援センター


◆「先延ばしせず、まず相談を」

 中小企業の後継者不在が大きな課題となる中、国は全国に事業引継ぎ支援センターを設置し、対策を進めている。

 その中でも本県は特に実績を挙げているが、県北は相談、成約件数とも少ない状況。廃業は地域の衰退につながるだけでなく、経営者や周囲への負担も伴うため、県事業引継ぎ支援センターは、「廃業を選択する前にぜひ相談を」と訴えている。

 同センターの岡村巖統括責任者に、県内や県北の現状、取り組みなどについて話を聞いた。

◇統括責任者岡村巖さんに聞く

―経営者の高齢化により、休廃業する中小企業が増えています。全国的にはどのような状況にあるのでしょうか。

現在、国内の中小企業数は約350万社ですが、国の推計では、そのうち127万社が後継者未定と言われています。また、経営者の年齢を見ると、その多くが平均引退年齢である70歳を超えてきており、後継者が決まらないまま今後、休廃業が急増すると見込まれています。帝国データの調査でも、休廃業・解散企業数は2019年で2万3634社となっています。
後継者問題は、地方において特に深刻で、このような傾向が続けば地域の雇用や経済力が大きく失われることとなることから、国は「事業承継5カ年計画」を策定し、相談窓口として事業引継ぎ支援センターや事業承継ネットワークを設置するとともに、税制や補助金など手厚い支援を行っています。
国が重点的に事業承継を支援している今がチャンスですので、皆さん急いで取り組んでいただければと思います。

―同じく、県内の現状はどうですか。

宮崎県も、後継者問題は全国同様に大変深刻です。事業承継は、子供への承継であれ、第三者への承継であれ、準備まで入れると数年かかる場合が多く、60歳以上になれば後継者のめどを立てておく必要があると言われています。
しかしながら、宮崎県が17年度に実施した、経営者60歳以上の企業を対象とした調査によると、後継者が決まっているのは約5割にとどまり、「自分の代で清算・廃業の予定」が約3割、「まだ決めていない」が約2割となっています。特に、個人事業者に限れば約6割が「自分の代で清算・廃業予定」と答えており大変深刻です。
帝国データの調査では19年に県内で315社が休廃業・解散していますが、今後さらなる増加が懸念されています。

―休廃業に踏み切る要因は、経営不振の影響が大きいのでしょうか。

休廃業の一番の要因は業績の悪化と考えられますが、後継者不在も大きな要因となっています。本県の17年度調査でも、自分の代で廃業予定の企業の約4割は、売上高は「現状維持」または「伸びている」と答えており、経営に問題がなく事業継続可能な企業が、後継者不在から多数廃業している実態があります。
―事業承継についての意識は中小企業者に浸透しているのでしょうか。

事業承継の必要性は感じながらも、日々の仕事に追われて、取り組みを先延ばしにされている経営者が多いのが実態です。特に、親族に後継者がいない場合、第三者承継(いわゆるM&A)や従業員承継を検討する必要がありますが、どう取り組んでいいか分からず先延ばしになっている例が多いようです。
また、見ず知らずの第三者に引き継ぐことへの抵抗感、小さな企業にはM&Aなどはできないという思い込みなどから、検討もせずに廃業に至る場合が多いようです。
そのような方に、第三者承継などを考えてもらうきっかけになるよう、セミナーの開催や、新聞・テレビ・ラジオ等による広報に力を入れており、小規模企業でもM&Aが普通に取り組める時代だという認識は少しずつ広がっていると感じています。

―県事業引継ぎ支援センターの概要や取り組みを聞かせてください。

事業引継ぎ支援センターは、中小企業の第三者承継や従業員承継が円滑に進むよう、国が全都道府県に設置している公的な支援機関です。宮崎県は15年8月に設置され、4年目になり、現在6人体制で相談に対応しています。相談は無料で、秘密厳守も徹底していますので、安心してご利用いただけます。
相談の大半は、これまで手数料負担などの関係でM&Aに取り組めなかった小規模な企業からで、小規模企業の第三者承継を後押しするのが当センターの大きな役割です。
相談の進め方としては、まず時間をかけて相談者とともに今後の方針を検討します。第三者承継等の方針が決まれば、センターに登録している譲り受け希望企業の中からマッチング候補者を紹介し、話が進む場合は最終的な引き継ぎまでの手続きなどを丁寧に支援します。
また、税制や法律など専門的な内容については、当センターがお願いする弁護士、公認会計士ら24人の専門家と連携しながら支援しています。
相談の内容は、高齢の経営者に後継者がおらず引き継ぎ先を探してほしいというものが大半ですが、病気や経営難、事業の整理等さまざまな理由から譲渡先を探す相談も多く寄せられています。
一方で、そのような企業があればぜひ引き受けて伸ばしていきたいという企業からの相談も多数あり、譲渡希望者、譲り受け希望者ともにセンターに登録いただき日々マッチングを進めています。
なお、最近は、知人や取引先などと譲渡についておおむね合意はしているが、具体的に進めるために公的な立場で間に立って支援してほしいという相談も多くなっています。
また、当センターは、小売店など小規模企業と創業希望者等をマッチングする後継者人材バンクにも力を入れており、創業希望者等からの相談も大変増えています。

―県北の事例を交え、これまでの実績を教えてください。

15年度の開設以来、今年2月末までの新規相談の累計件数は845件となっており、また、同期間に第三者への引き継ぎが成立した件数は61件です。そのうち、後継者人材バンクが13件あります。
年度別の推移は、19年度についてみますと、2月末で新規相談件数は265件となっており、月平均約25件で推移しています。引き継ぎ成立件数は前年より大きく伸びて32件となっています。
しかし、県北に限ると1月末で35件、全体の15%にとどまっており、センターへの相談はまだまだ少ない状況にあります。また引き継ぎ成立件数も2件にとどまっています。
今後、県北の皆さまがさらにセンターをご利用いただけるよう、広報の充実や出張相談会の開催などに力を入れていきたいと思います。
成約した事例としては、高千穂町の漬物製造販売業「ひやくしようや」が最新の事例です。
後継者がおらず、18年11月に商工会を通じて相談を受け、1年以上かけて引受先を探し、1月に若い地域おこし協力隊の方に事業譲渡が決まりました。高千穂で生まれた味が、若い力に引き継がれ、更なる発展が期待できる案件です。
次に、西都市のすっぽん養殖場の案件です。後継者がおらず引受先を探していたところ、知人が興味を示し、当センターの支援で18年9月に事業譲渡しました。国の事業承継補助金に採択され、新たな加工品開発にも取り組むなどM&Aを契機に新たな展開が始まっています。

 最後に、宮崎市の不動産業を土地家屋調査士が引き継いだ事例です。後継者がおらず引受先を探していたところ、土地家屋調査士を営む若い経営者が興味を示し、当センターの支援で18年11月に株式譲渡しました。

 当案件も、空き家再生など新たな分野の展開を目指して国の事業承継補助金に採択され、M&Aを契機に更なる展開を図っています。

 このように、センターとしては、第三者承継が、事業を単に引き継ぐだけでなく、経営の更なる発展につながるよう、関係機関と連携しながら支援しています。

―課題解決には時間がかかると考えられますが、経営者の方にはどのような対策や備えを期待しますか。

親族承継であれ、第三者承継であれ、準備から引き継ぎ完了までには数年を要する場合が多いので、事業承継にできるだけ早く取り組むことが何より重要です。
企業を存続させたいと考えている経営者の皆さまにまずやっていただきたいことは、存続発展するためには、親族承継、従業員承継、第三者承継のいずれが最も良いのかを当センターの助言を受けながら関係者とよく相談し、早期に方針を決定することです。
第三者承継の方針が立ったら、M&Aに備え、買い手が魅力を感じるよう、経営全般のブラッシュアップに心掛ける必要があります。M&Aは企業をさらに発展させる手法でもありますので、引き継ぎ後経営が発展できるような体制づくりができれば理想です。
具体的には、計画的な財務内容の改善や、社長に過度に依存しない経営体制づくり、従業員の確保などです。なお、経営業績が悪い場合でも取引先などに魅力があればM&Aが成立する場合もありますので、業績が悪いからと諦めず早い段階から当センターにご相談ください。
次に、自分の代で廃業と考えている経営者の皆さまにお考えいただきたいことは、現在経営的にあまり問題がなければ、ぜひ一度、第三者承継を検討いただきたいと思います。小規模な企業でも後を継ぎたいという創業希望者などはたくさんおられます。
廃業の場合、店や工場を整理するコストが必要となりますが、第三者承継であれば、取引先や従業員に迷惑が掛からない上、退職金代わりの譲渡金を得ることができます。また、経営的に厳しい場合でも、買い手から見て魅力があればM&Aの可能性がありますので早めにご相談ください。



その他の記事/過去の記事
page-top