厚労省医政局長に延岡市

本紙掲載日：2020-03-12

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上手な医療のかかり方アワードの受賞者や関係者。後列左から３番目が表彰式に出席した延岡市職員＝延岡市提供＝

上手な医療のかかり方アワード

◆自治体部門の優秀賞

　医療従事者の負担軽減や若年層への医療受診の教育などに関し、取り組みの優れた企業・団体などを表彰する「上手な医療のかかり方アワード」の表彰式がこのほど、主催する厚生労働省（東京）であり、延岡市が同省医政局長賞の自治体部門優秀賞を受賞した。

　受賞した同市の活動名は「全国市長村〃初〃『延岡市の地域医療を守る条例』を旗印とした取り組み」。

　延岡市は、県立延岡病院医師の大量退職で地域医療崩壊の危機に直面した際、市民団体が立ち上がって県に医師補充を求める署名活動を行うとともに、市民に同病院の時間外の安易な受診の自粛や医師に感謝の気持ちを伝える啓発活動を展開。１カ月で１５万人以上の署名を集め、医師６人の補充につなげた。

　加えて、市民発の地域医療を守る活動を一過性で終わらせないため、２００９年９月に全国市町村初となる「延岡市の地域医療を守る条例」を制定。かかりつけ医を持つことや適正受診などの責務を市民に規定するなど、地域医療を自分事として認識した取り組みを継続している点などが高く評価された。

　厚生労働省は２０１８年度に「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」を開いて計５回の議論を重ね、「『いのちをまもり、医療をまもる』国民プロジェクト宣言！」を採択。アワードは、医療のかかり方改善に向けた取り組みの奨励・普及を目的に創設され、今回が第１回目となる。

　プロジェクト宣言に掲げる①患者・家族の不安を解消する取り組みを最優先で実施している②医療の現場が危機である現状を国民に広く共有している③緊急時の相談電話やサイトを導入・周知・活用しているなど、五つの方策を中心とした取り組みの公募に７９件の応募があった。

　審査の結果、厚生労働大臣賞最優秀賞を１企業が受賞。このほか、厚生労働省医政局長賞として保険者、医療関係者、企業、民間団体、自治体、チラシの６部門で各２団体、計１２の企業、団体、自治体などが選ばれ、それぞれの代表者や担当者らが表彰状とトロフィーを受けた。

　市地域医療対策室は「受賞は市民と医療機関、行政の３者が１０年間にわたり取り組みを続けてきた結果。ただ、これで終わりではない。今後も取り組みを続け、市民が安心して暮らせ、医療者にも過度の負担が掛からない上手な医療のかかり方の普及に努めたい」と話している。