保健所業務の権限移譲を−延岡市

県に要請書・予防情報の一層開示も

　読谷山洋司延岡市長は１２日の臨時記者会見で、県に対して新型コロナウイルス感染予防に役立つ情報などの一層の開示を求めるとともに、必要な財源の交付や人材派遣を前提として、保健所業務の同市への権限移譲などを検討するよう要請したことを明らかにした。要請は７日付。

　要請書によると、同市はクラスター（感染者集団）が発生するなど非常に深刻な状況で、より詳しい情報を迅速に市民に提供して今後の感染予防につなげる必要性があるなどとした上で、感染拡大の予防と市民の不安軽減のため、感染者情報の一層の開示を求めた。

　保健所業務の権限委譲の検討に関しては、延岡保健所の業務が連日多忙を極めていることなどから、県からの必要な財源移譲や人材派遣などを前提に地方自治法に基づき市に権限委譲してもらうことで、県の業務負担の軽減とより迅速できめ細かい運営が可能になるとしている。

　また、市は保健所の権限移譲が困難な場合として、保健所業務の中の新型コロナウイルスに関する業務の市への移譲の検討を、これも困難な場合は、県の検査で陽性反応が出た延岡市民についてその行動履歴や濃厚接触者の調査、その公表などを市にさせることを検討するよう求めている。

　延岡市は保健所設置市でないため、保健所業務を行うには、県が地方自治法２５２条の１７の２に基づき、県条例により権限を移譲する旨を規定しなければならず、県の条例改正と県議会の議決など諸手続きが必要になるという。

　読谷山市長は「県と市の対立の話ではなく、どういった形で県と市が連携し、より良い情報提供ができるかの話」とした上で、「本市は県とより一層連携し、県民と市民のためこの難局を乗り切る決意」と要請書に示し検討を求めている。