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コラボで生まれた延岡の美味
◆生産者・吉田健司さん×料理人・西園寺貴之さん
(北浦漁業協同組合) (ChezOnjiオーナーシェフ)
「ガラエビのビスク」
◆おいしい食材をおいしく調理
「おいしい物を作るのはもちろん。見た目とか雰囲気とか、すべてに満足してもらいたい」。デザイン、家具などにこだわってつくったレストラン「ChezOnji(シェ・オンジ)」=延岡市本町=で、フレンチのコース料理を提供するのは西園寺貴之さん(52)。大人の雰囲気漂うボルドーレッドを基調とした店内は、一歩足を踏み入れた瞬間に客を特別な気分にしてくれる。
愛媛県生まれ。延岡商業高校入学と同時に、母親の実家がある延岡市に家族で移り住んだ。
当時テレビでは、バラエティー番組「料理天国」が人気を博していた。料理が好きだったこともあり、その道に進むことを意識したのは早かった。高校卒業後、大阪の専門学校に進学。老舗の料亭で住み込みのアルバイトをしながら、調理技術を学んだ。
卒業後は、目標としていたシェフに師事するため志摩観光ホテル(三重県)へ。その後、プリンスホテル系列の複数のホテル、宮崎観光ホテルなどで経験を積んだ。
フェニックス国際観光ホテル(現・シェラトン、宮崎市)で働いていた時、社内にフランス研修制度ができたこと、後輩が海外での勤務が決まったことなどから、「自分も」と海外への思いが芽生えた。
同じ頃、帰省時に読んだ本紙に、ジンバブエなど複数の大使館で料理人を務め帰国した谷本浩二さん(現・延岡学園高校調理科教諭)が紹介されていた。連絡を取って会いに行き、外務省の窓口を紹介してもらうと、すぐに登録した。
海外への思いが固まってから実現までに時間はかからなかった。イスラエル大使館を皮切りに、アゼルバイジャン、フィンランドと、大使の任期と同じ約3年ずつ計9年間、大使館公邸の料理人を務めた。
大使夫妻の3食の食事に加え、週4、5回開かれる会食やパーティー用の料理も、要望に応じながら一人で作った。特に大きなレセプション前には2日ほど徹夜し、400人分を用意したこともあった。
日本国内では主に洋食に取り組んでいたが、「日本大使館に行ったら、和食が食べられる」と期待されるため、天ぷらやすしは必ず作った。宗教上食べられない食材もあり、公邸料理人の難しさも経験した。
フィンランドから帰国後、39歳で同市北小路に店舗を構えた。2011年に現在地に移転。こだわってつくった店には、誕生日や結婚前の顔合わせなど、記念日に利用する人が多く訪れる。
要望を聞くが、基本は「食べてもらいたいものを作って出す」。旬の食材、その日に入った珍しい食材などを用いて作るため、メニューは日によって違う。
食材の産地については特別なこだわりはなく「おいしければどこの物でも使う」。味と質にはこだわる一方、「どんな食材でもおいしくするのが料理人」という信念も持っている。
「ビスク」とは、エビなどの甲殻類をピューレ状にしたフランス料理定番のスープで、店でも提供している。エビはいろいろ使うが、ガラエビが一番味が濃いという。
「エビのソースに生クリーム(の組み合わせ)は、誰が作ってもうまい」と西園寺さん。香ばしさをプラスするため、ホイップした生クリームを焼き、焦げ目を付けるのがポイントだ。
「エビを炒める時、一度にフライパンに入れるときれいな焼き色が付かず、香ばしさが出ないから、少量ずつ入れてしっかり炒める。スープの色が変わらないようにするため、野菜は焦げ目が付かない程度に」。店で振るう一流の技を、惜しげなく教えてくれた。
◆深海底引き網漁に打ち込む
船をつなぐ岸壁前に日差しを避けるテント。台の上にはメヒカリ(アオメエソ)などが大量に水揚げされている。水深約300メートルを漁場とする深海底引き網漁で捕れたばかりの獲物だ。潮の香り漂う中、吉田健司さん(42)=延岡市北浦町=が慣れた手つきで大きさごとに選別していた。
同町の30〜40キロ沖合にある漁場まで片道約2時間。辺りが真っ暗な午前2時ごろ、乗組員と共に2人で出港する。
夜明けと同時に網を入れ、水深を一定に保つよう、船のスピードを調整しながら1時間半ほど引く。その日の天候や漁獲量にもよるが、通常は1日2回操業するという。
帰港すると、すぐに選別を始める。午後の入札に間に合うよう、家族や近所の人ら6〜8人で作業する。中には、一仕事終えた定置網漁の人の姿も。吉田さんも手が空いた日は定置網を手伝うなどお互いさまの関係。手間のかかる作業だが、陽気な漁師町らしく世間話に花が咲く。
漁業は天候に左右される仕事だ。特に深海底引き網漁は漁場が遠いため、強風や高波、視界が悪い時は出漁を見合わせるなど「とにかく無理をしないようにしている」。自然保護の観点から1カ月間の禁漁期間も定められている。このため、沖に出られるのは年間の半分ほどだという。
吉田さんは幼い頃に両親を亡くした。何かと面倒を見てくれた知人が魚の養殖業をしていたことから、中学生の頃から仕事を手伝うようになった。卒業後、本格的に養殖業に従事した。
独立し、深海底引き網を始めたのは7年ほど前。獲物は主にメヒカリ。同じ漁業とはいえ「育てるのと、捕るのでは全然違った」。苦労もあったが自分で捕ったメヒカリのおいしさに手応えを感じた。
水揚げしたばかりのメヒカリは、名前の通り透き通った黄緑色の目が光って見える。今でこそ延岡名物といわれ、県北各地の飲食店で食べることができるが、一昔前まではあまり知られていなかった。
現在は、町内の加工工場が空揚げで販売するなど少しずつ知名度も上がってきている。だが、「知らない人もいる。もっと(存在を)知ってほしい」と普及にも力を入れたい考えだ。
今回の料理に使われたガラエビ(ミノエビ)は深海底引き網漁の副産物。メヒカリに交じって捕れるため、日によって水揚げ量が変わる。市場に出回ることは珍しいという。
「ガラエビのビスク」を試食した妻の文(あや)さん(43)は「こんなに凝った一品になるなんてすごい」と驚いた様子。だしがよく出るエビで、みそ汁などに入れて食べるのが一般的。塩ゆで、空揚げ、少し大きいものは刺し身で食べることもある。四男(7)は、頭との間のみそを吸って食べるのがお気に入りだという。
独立して7年目を迎えた健司さん。漁獲量が多い時に仕事のやりがいを感じるという。メヒカリが店頭に並んでいるのを見ると「気になって見てしまう」という文さんは「おいしく食べてもらえるとうれしい」。健司さんも「新鮮な魚を捕ってくるので、ぜひ食べてほしい」と話した。