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（ラミネート加工は300円追加） |
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コラボで生まれた延岡の美味
◆生産者・上鹿川トマト部会×料理人・岩��崇さん
（延岡市北方町上鹿川） （カレー専門店BeagleHouseオーナーシェフ）
「中玉トマトの夏野菜カレー」
トマトの酸味と合うカレーソースは、スパイスがピリッと辛く、さっぱりとしたカレーです。
◆情熱で覚えたスパイスの調合
ドアを開けた瞬間、食欲をそそるスパイスの香りが出迎えてくれる「カレー専門店ＢｅａｇｌｅＨｏｕｓｅ」＝延岡市旭町＝。岩��崇さん（６４）が妻の啓子さん（６４）と営む店だ。
延岡高校を卒業後、名古屋市の大学に進学した。卒業後、営業職に就き、学生の時に出会った啓子さんと結婚。「二人で将来何かやれるといいね」と夢を抱いた。
「自分が工夫して作った物を出して、お客さんに『おいしかった』って言ってもらえるといいな」。料理好きだったこともあり、飲食店を開くと決めた。
夢への一歩を踏み出したのは２８歳の時。６年勤めた会社を辞めると、調理師学校に１年通った。アルバイトをしながら技術を身に付け、時間を見つけては二人で食べ歩いて研究した。
たくさんの店を回ったが、二人が「一番おいしい」と気に入った店があった。「スパイスの秘境」という当時名古屋で有名だったカレー店。「自分の店を出したい。無給でもいいから雇ってもらえないか」と懇願したが「フランチャイズ店として将来やっていくのであれば教えるが…」と断られた。
数カ月後、他の喫茶店でアルバイトをしていた時、同店がアルバイトを募集しているのを見つけた。「ここの味を覚えたいと必死だった。ダメ元」でもう一度行くと「（作り方は）教えないが、やる気があるなら来なさい」。見て覚えるしかないため、「見たものは全部吸収する」気持ちで１年ほど働きながら、独立する準備をした。
店にはカレーの種類が数多くあった。調味料やスパイスの調合がすべて違う。「それを（崇さんが）よく覚えてくれた」と啓子さんは言う。
現在、延岡で営む店でも数種類を出しているが、「スパイスの調合、味付け、作る過程、すべてが違う。だから面白い」と崇さん。コクを出す「フルーツチャツネ」も市販のものは使わず、手作りしている。
名古屋で店を構えて６年後、崇さんの父親が体調を崩したことをきっかけに帰郷し、今の場所に移って２７年がたった。「子どもに食べさせても、安心できるものを作ろう」と食材にこだわる。「東九州バスク化構想」の「のべおかタパス」に参加するようになってからは、特に地元産の食材を使うようになった。
延岡市内を中心に、イベントにも年間１０回ほど出店する。イベント前は店内での営業に加え、当日に提供する数百食分の仕込みと多忙だが、「いろんな経験ができる大切な機会」と捉えている。
タパス用のレシピは、家庭でも簡単に作れるように、小麦粉を加えて練り上げる作業が必要な欧風ではなく、「インド風カレー」にし、業務用スーパーで手に入りやすいスパイスを選んだという。
店でも夏季は夏野菜を、今はキノコをと、季節によって使う食材を変えながら提供。人気の一品になっている。
「カレーの基本はタマネギ」と岩��さん。「きつね色になるまで炒めることで甘みが増す。焦がさないようにゆっくりと炒めることがポイント」と話した。
◆天然水と寒暖差で育てる
キャンプや紅葉狩りなどで人気の鹿川渓谷。延岡市北方町上鹿川は、「祖母・傾・大崩ユネスコエコパーク」に登録され、周りを山々に囲まれた標高約５００メートルの自然豊かな環境にある。ここで中玉トマトを栽培するのが上鹿川トマト部会。
現在は会長の中村義幸さん（５９）、西�眇�義さん（６６）、新本比佐良さん（６８）の３軒で、１シーズンに約１０トン強を収穫しているという。
市街地から車で約１時間。到着まで細い道が延々と続くが、３人は「遠いけど住めば都」と口をそろえる。
鹿川地域は北方町と日之影町にまたがる。上鹿川地区の人たちは、北方町立上鹿川小学校（２００５年３月閉校）を卒業後、日之影町立鹿川中学校（０６年３月閉校）に通った。今も毎年、日之影町と交互で祭りを開くなど、市町を越えた交流が続く。
ミニトマトの栽培を始めたのは３０年ほど前。当時は３０軒弱のうち、十数軒が手掛けていたという。
ミニトマトから中玉トマトの栽培に変えたのは１１年前から。栽培農家が減る中、小さなトマトをパックに詰めていく作業は負担が大きく、労力を減らすための切り替えだった。
３年前からは、中玉トマトの中でも病気やカビに強く、日持ちしやすい新品種「５０５」を栽培している。
綱ノ瀬川の湧き水をパイプで田畑に引く。地域の人たちはこの水で米、シイタケ、トマト、ナス、白菜、タマネギなどの野菜を育ててきた。冷たい天然水を使って高冷地で育てるため、米の評価も高いのだという。
昼と夜の寒暖差が大きい高冷地の特徴を生かし、温度調節をせずに雨よけ用のビニールハウス内で栽培する。
週３回の集荷に合わせ、収穫するのは前日の夕方。涼しい時間帯に行う。朝に収穫すると温度差でつゆがついてしまうからだ。翌朝、正午の集荷時間までに大きさごとに箱詰めする。集荷時間には同地区の「神楽館」と呼ばれる集会所に３人が箱を持ち寄り、ＪＡのトラックに積み込む。出荷先は宮崎市の青果市場。また、延岡市内の「道の駅北方よっちみろ屋」「産地直売所ふるさと市場」などでも販売する。
４月中旬に苗を定植。収穫は６月中旬から始まり、霜が降りる１１月中旬まで続くが、今年は例年より早く終了したという。
「作業は大変だけど収穫した時の喜びがやりがい。値がよければさらにうれしい」と中村会長。新本さんは「味、色など、消費者が喜んでくれるものを目指している」、西�發気鵑蓮嵜�べてくれる人がおいしいと言ってくれることが一番」とそれぞれ話す。
自然豊かな環境で育てた中玉トマトは、赤く実が締まり、サラダなどでそのまま食べるのはもちろん、酸味があるため、カレー、パスタなどの加熱料理にもぴったりだという。そのため「学校給食にも合うのではないか」と新たな販路も模索する。
これからの時期はシイタケや冬野菜の収穫が続く。「自然いっぱいの場所で育てた高冷地野菜。味もいい。ぜひ食べてください」と話した。