課題研究で県最優秀賞－延岡高校ＭＳ科

本紙掲載日：2021-05-25

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五重塔が地震に強い理由を実験

　県立延岡高校メディカルサイエンス科３年生の物理班が、３月にあった県課題研究発表大会の自然科学部門で最優秀賞を受賞した。８月に北九州市で開かれる「中国・四国・九州地区理数科高等学校課題研究発表大会」に県代表として出場予定で「上位入賞したい」と意気込んでいる。
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　ンバーは、佐藤亜海さん、黒木彩音さん、德永淳哉さん、安達航暉さん、安東陵汰さん、瀬尾一輝さんの６人。「五重塔から学ぶ耐震研究～南海トラフに備えるために～」をテーマに昨年度、年間を通じて研究した。

　テーマは当初、近い将来、高い確率で起きるとされている南海トラフ大地震に備え、耐震性に優れた新しい建物を考えようと設定。五重塔など仏塔が数々の災害を耐え抜いて今に残っていることから、耐震性に優れているのではないかと着目した。

　構造を調べると、木組みである、層が分離している、心柱（しんばしら）がある、心柱が地面から浮いている物と浮いていない物がある―の４点が分かった。

　地震時の動きに関するデータなど文献が少なかったため、実験装置から手作りした。台車の上に、テーブルゲーム「ジェンガ」を多重の塔に見立てて積み上げ、円盤を１０秒間に２０回回すことで、台車に同じ強度の横揺れを加えることのできる装置を取り付けた。

　３～５層と、層を固定した場合のそれぞれについて、心柱なし、心柱を浮かせる、心柱を浮かせない－の３通りの実験をすべて３０回ずつ行った。この結果から、耐震性に最も影響すると分かった心柱ありの状態で、６、７層についても同様に行った。

　これらの結果、心柱があった方がいい、層は分かれていた方がいい、心柱は浮かせても浮かせなくても耐震性に大きな影響はない、奇数層の方が耐震性に優れている、と分かった。

　昨年１２月にあった校内発表に向け、放課後も集まった。実験は計約６００回に上り、「正直終わる気がしなかった」というほど。開催日が迫ると、実験班と発表するためのポスター制作班に分かれ、並行して準備した。さらに、発表に向けて苦労したのが、「初めて聞く人にいかに分かりやすく伝えるか」。何度も修正を重ねて「ギリギリ」で完成させた。

　校内発表で県大会代表に選出された。メンバーは喜びつつ「中途半端は嫌」と、７層まで取っていたデータを９層までに拡大。塔が高いほど摩擦が大きく、正常なデータが得られなかったため、実験装置も作り直した。

　３月中旬にあった県大会は、オンラインでの開催となった。対面とは違って身ぶり手ぶりができないため、プレゼン内容も修正。下校後もオンラインで画面を共有し、意見を出し合うなどした。

◆８月に中国・四国・九州大会

　努力を重ねての結果にメンバーは「結果が出て報われた。頑張って良かった」と笑顔。「聞いている人に理解してもらえて、（自分たちが）発見があったということが分かってもらえるような発表にしたい」と話した。