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オンラインでSDGs講演会「難民と貧困」

本紙掲載日:2021-09-09
6面
モニターを介して講話する進藤さん。生徒との質疑応答も盛んに行われた

「寄付依存になる」は「やらない言い訳」

◆身近な人を幸せにし、余剰金を社会貢献に使って
 延岡高校−ヨルダン

 文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されている県立延岡高校(川越勇二校長、721人)は3日、延岡市古城町の同校大会議室と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)ヨルダン事務所をオンラインで結び、准渉外官の進藤弘騎さん(宮崎市出身)を講師に、SDGs(持続可能な開発目標)に関する講演会を行った。

 テーマは「難民と貧困」。国際的な活動に興味を持つ1〜3年生56人が、世界の難民や貧困について理解を深め、問題解決の糸口をそれぞれ模索した。

 進藤さんはまず、難民の定義について「殺されるかもしれない迫害を受けていること」「迫害理由は自身に非があるものではないということ」「国境を越えていること」を挙げた。また「今、世界には約8240万人の『難民』がいて、その中には国境を越えていない約5080万人の『国内避難民』も含まれている」と解説。国外難民の2倍近くいる国内避難民が、あまり認知されていない現状を問題提起した。

 貧困問題については、「相対的貧困」と「絶対的貧困」の2種類があることを説明。「前者は、その国の水準で大多数よりも貧しい状態のことを指し、後者は、国際的に定められた貧困ライン(1日1・9ドル)未満の所得を指す」と説き、「SDGsの目標の一つ『貧困をなくそう』の中には、これら『絶対的貧困を完全に撲滅すること』と『相対的貧困を半減させること』がターゲットとして盛り込まれている」と提示した。

 また、「寄付しすぎると、寄付依存して自立できなくなるのではないか」という意見に対し、「それは『やらない言い訳』だ」と強調。

 ヨルダンのシリア難民の83%以上は、一般の人と一緒に働いており、障害やけがなどのやむを得ない理由で働きたくても働けない人たちが、難民キャンプで支援を受けながら生活しているという。「難民も、人としての尊厳をもって生きている。楽な道を選んでいない」と訴えた。

 最後に進藤さんは、SDGsや国連、NGO(非政府組織)に貢献することだけが社会貢献ではないとし、「働くことの本質は、社会課題をいかにして解決するかということ。どんな職業にも意義があり、すべてが社会貢献につながっている」と説明。「自分で働いたお金で身近な人を幸せにした上で、余剰があれば、国連への寄付などの社会貢献に使ってほしい」と呼び掛けた。

 講義を受けた3年生の田島華峰さん(18)は「UNHCRが、ただの支援ではなく、人間の尊厳を重視した支援を行っているのを初めて知ってすごいと思った」と感想。2年生の日吉智哉さん(16)は「私は将来教師を目指しているが、国際社会の一員として、今回学んだことを生徒たちにも伝えていきたいと思った。また余剰があれば、貧困問題の解決に向けてできる限りの支援をしていきたい」と話していた。

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