巨典の−−故郷は遠きにありて思うもの（２）

頑張れ県北人！−高千穂町出身熊埜御堂豪さん（４２）

◆福岡市早良区の鍼灸整骨院院長
サッカーで福岡、さらにブラジルへ−ビザが下りずにプロを断念

　福岡の街を歩くと、宮崎とのゆかりを感じるお店が結構目につきます。「チキン南蛮」「鶏のモモ焼き」「辛麺」などなど。そして延岡発祥のチキン南蛮はスーパーのお総菜コーナーでも普通に売られていてとても人気です。

　さらに、まだお邪魔したことはないのですが、中央区薬院にある老舗の居酒屋「ミヤザキダイニングどれみ」には、ＭＲＴとＵＭＫというメニューが存在するとか。

　お店のホームページによると、ＭＲＴは明太子ロール卵焼き、ＵＭＫはうめ・もろみ・きゅうりと紹介してありました。頭文字で付けたとはいえ、大胆なネーミングです。さぁどちらをオーダーしましょうかねぇ（笑）。

　さてさて、福岡ではまだ駆け出しのフリーアナウンサーですが、１年以上テレビに顔を出していると少しは認知されるようになります。「巨典さん、私も宮崎出身です！」と声を掛けていただくことがあります。これは本当にうれしいものです。

　福岡に来て間もなくの頃、一番最初に声を掛けてくれたのは、野太い声の中年男性でした。「巨典さんですよね、僕は高千穂出身です」と。彼の名は熊埜御堂豪さん（４２）、早良区にある「くまのみどう鍼灸（しんきゅう）整骨院」の院長です。高千穂町岩戸の出身で、岩戸中から福岡の東海大第五高校（現東海大付属福岡高校）にサッカー留学、その後、何とサッカーの本場ブラジルに渡り、選手養成所に通います。いいオファーもあったそうですが、ビザが下りずに活動を断念。ビザの問題がなければ、ブラジルでプロ選手になっていたことでしょう。帰国後はＪＦＬチームのデンソーに所属し、プロとして活躍しました。サッカーをやってて良かったことは？の問いには、「人との繋がりです。サッカーで全国の人と繋がれたし、今でも繋がっています」と胸を張って答えました。

　現役を引退してから、鍼灸師・柔道整復師の資格を取得し、くまのみどう鍼灸整骨院を開業しました。一般の方はもちろん、プロのサッカー選手や、大相撲九重部屋の力士たち、芸人さんなども施術を受けにやってきます。「お陰さまで良くなった、ありがとう」と感謝されることが一番の喜びだと言います。

　高千穂で暮らしたのは１５歳まで。福岡の暮らしの方が長くなったけど、お節介なくらいの優しさを持つ高千穂の人が今でも大好き。だから、将来の夢は、高千穂に治療院を造って、大好きな高千穂のじいちゃんばあちゃんの体の痛みを和らげてあげたいとのことでした。

　福岡の治療院と高千穂の治療院の両立は大変だと思いますが、サッカーで養ったバイタリティーで道を切り開いてください。頑張れ県北人！

（元ＵＭＫアナウンサー。現在、フリーアナウンサーとしてテレビ西日本の「ももち浜ストア」のＭＣを担当。日之影町生まれの延岡育ち。趣味は渓流釣り。県北のほとんどの川で釣りをしたというヤマメ釣り歴４５年。延岡高校３１回生・１９７９年３月卒＝レポートは月２回のペースで掲載します）