横断歩道がなくても歩行者は優先

延岡で死亡事故現場検討会

　延岡警察署（久留米英樹署長）は９日、延岡市新町の市道交差点で先月１９日に発生した死亡事故の現場検討会を実施した。道路管理者の市や延岡地区交通安全協会の職員、市交通指導員、地元区長ら計約２０人が参加し、事故防止策などの意見を出し合った。

　現場は須崎橋北詰めに近い片側１車線で、信号機がない十字路。死亡事故は１１月１９日午後１１時５５分ごろ、船倉町方面から須崎橋方向に南進中の普通乗用車が、道路を右側から歩いて横断していた７０代男性をはねた。

　警察官は男性が黒っぽい服装で、当時は通行車両が多く、事故を起こした車のスピードは出し過ぎではなかった状況などを説明。交差点には３方向に「コ」の字で横断歩道が設けられているが、男性が渡っていた方向は須崎橋方面から見えにくいため設置していないことも伝えられた。

　現場を確認した参加者からは「せっかく街路灯があるのにもっと明るく照らせないのか」「横断歩道を設けられないか」「交差点を明確にする路面塗装が薄くなっている」「周辺道路で車の速度を抑えるような交通規制はできないか」などの意見が出されていた。

　これに対し、市の担当者は、意見を持ち帰って効果を検証した上で必要な対策を講じると説明。「歩行者が横断歩道を渡ればいいのではないか」という意見に対して警察官は、同所のような交差点では目的地が直線方向の場合はわざわざコの字に横断歩道を渡らなくてもいいとする道交法の解釈を示し、「横断歩道がない場所も横断歩行者が優先される」と念押しした。

　県内では先月１６日から今月７日までの２２日間に７件の死亡事故が相次ぎ、８人の高齢者が亡くなっている。延岡署は「今回の現場にも横断歩道があることを知らせるダイヤモンド形の予告マーカーがあり、しっかり減速して安全運転に努めてほしい。歩行者の方は明るい服装や反射材の利用が有効です」と呼び掛けている。