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巨典の−−故郷は遠きにありて思うもの(7)

本紙掲載日:2021-12-14
8面

スパイスカレー、福岡の第一人者−高千穂町出身マサラキッチンの三辻忍さん

◆流行語「黙食」ルーツは高千穂小−香りの特徴など古里の風景で表現

 12月に入り、恒例の「2021ユーキャン新語・流行語大賞」が発表されました。

 そのトップ10に入ったのが「黙食(もくしょく)」。福岡市のカレー店が、飲食店での飛沫(ひまつ)防止を推奨するために作った言葉です。

 そのお店「マサラキッチン」の店主三辻忍さん(47)は、何と高千穂町の出身です。

 高千穂小、高千穂中、高千穂高を卒業後、福岡の九州産業大学芸術学部デザイン科へ。そして、勤務したデザイン事務所の賄い料理でカレーを作るうちにスパイスの魅力に取りつかれたそうです。

 マサラキッチンを開業して8年がたち、今では福岡のスパイスカレー(カレールーを使わずスパイスを調合して作るカレー)の第一人者と呼ばれるようになりました。

 しかし、新型コロナウイルスの流行が始まります。「飲食店が悪いわけではない。至近距離での会話がいけない」と、三辻さんが考え抜いたメッセージが、店内で呼び掛ける「黙食」でした。

 「お客さんへのメッセージとしては強すぎないだろうか?」。散々悩んだ末の苦渋の決断だったと言います。それでもお客さんは理解をしてくれました。そして、「黙食」は日本全国へと広がっていったのです。

 その黙食のルーツこそが、高千穂小学校時代の給食指導「黙って食べましょう」だったそうです。改めて、三辻さんにふるさとから受けた影響を尋ねてみると、「自分の原点は幼少期の頃の高千穂で育まれました」との自己分析。祖父が作った「梅干しや、さんしょのつくだ煮」の味、あんばいなどが理解できる渋い子どもだったそうです。おじいちゃんのおかげで味覚が発達したのでしょうか?

 そしてもう一つ。高千穂町での暮らしの記憶が、スパイスにとって大切な役割を果たしてくれていると言います。

 例えば、スパイスの一種「コリアンダー」の鮮烈な香りと色は、近所にあった「雨上がりの畑」に例えられるそうです。さらに、スパイスの香りの広がり方については、高千穂の道路に積もった雪が風で静かに表面を舞う感じのイメージだそうです。

 こういったスパイスの持つ特徴や効果を高千穂の原風景に置き換えることが、カレーのレシピを構築していく上でとても役に立っているそうです。

 若い頃は「高千穂にいたら必要な情報を得られない」とストレスを感じたこともあったそうですが、今の三辻さんにとってのふるさとの存在は、かけがえのない大切なもののようです。

 「自分の根っこは、やっぱり山の子なんですよ。山はもうお腹いっぱいだから(飽きたから)と、高千穂から福岡に出てきたはずなのにね」と三辻さん。

 取材に訪れたこの日、カレーは昼間の営業だけで完売するほどの売れ行きでした。スパイスやハーブなどの素材の力を最大限に引き出し、組み合わせた三辻さんのカレーは、実は「高千穂の風土に育まれた必然的な逸品」と言えるのかもしれません。

 私も実際にいただいてみました。辛さは「普通」をチョイス。スプーンを口に運ぶと、深い香りとコクが何とも言えません。人を夢中にさせて、「黙食」せざるを得ないほどの、素晴らしくおいしいカレーでした。そして食後には、国見ケ丘から見た高千穂の風景が浮かび、刈り干し切りの草の香りを感じた気がしました。こうしてまた一人、三辻さんのスパイスマジックのとりこが誕生したのです。

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