本紙掲載日:2023-01-20
(3面)

海中みそぎ−22日まで美郷町南郷

海中みそぎで身を清める比木神社の一行(20日午前9時20分ごろ、日向市金ケ浜)

20日から師走祭り−3年ぶりに全行程

◆神門神社−今夕、一本鳥居で迎え火

 美郷町南郷の神門神社と木城町の比木神社に伝わる百済王族の亡命伝説にちなむ「師走祭り」が、20日から始まった。22日まで神門神社周辺で1300年以上守り継がれてきた祭事が行われる。みそぎや迎え火など、すべての祭事を通常通りに行うのは3年ぶり。

 「上(のぼ)りまし」と呼ばれる初日は、王族の長男・福智王(ふくちおう)を祭る比木神社の一行が、早朝に同神社を出発。父・禎嘉王(ていかおう)が漂着したといわれる日向市平岩の金ケ浜で神事を行い、身を清めた。

 最初の祭事「海中みそぎ」では、同神社の氏子や神楽の舞い手の男衆6人が、白ふんどし姿で真冬の海へ。ご神体に水がかからぬよう配慮しながら、打ち寄せる波を何度も耐えていた。

 15年ほど比木神社の伶人(れいじん)を務める長友暢輝さん(38)は「陰りもなく良いみそぎ日和でした。3年ぶりに全行程開催なので、祭りが滞りなく終えられるよう願った。美郷町の人たちと会えるが楽しみ」と話した。

 一行はその後、次男・華智王(かちおう)が祭られている同市東郷町の伊佐賀神社で神門神社の一行と合流。王族父子と1年ぶりに対面した。

 20日午後6時ごろからは、神門神社近くの一本鳥居で迎え火が行われる。高さ10メートルに及ぶスギやぐら約30基が燃えさかる中、一行が神門神社へ向かう。

 異国の地で離れ離れに祭られている王族のみ霊を慰める祭り。その昔、滅亡した百済から日本に逃れた王族が、しけで金ケ浜などに漂着。それぞれが奥地に入り、のちに神として祭られたという。祭りでは、比木神社に祭られている福智王が、禎嘉王を祭る神門神社を訪ねて約90キロを巡行し、年に1度の再会を果たす。

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