本紙掲載日:2023-02-03
(1面)

2023年新春インタビュー(14)−鶴田太美東郷町商工会長

事業継続、起業などを支援

◆多面的な視点で効果的な振興を

−−昨年はどんな年でしたか。

コロナ禍の第6波、7波が発生し、厳しい社会環境が続く中、さらに台風14号で域内の事業所が甚大な被害を受けました。そのような状況下で商工会としても思い切った活動ができない1年だったと思います。台風では26超の会員事業所が被災し、被害額は2億円近くに上り、現在も復旧・復興に取り組んでいる事業所があります。商工会としては被災者支援として見舞金を贈ると同時に、被災事業者の声をくみ上げて要望書を作成し、地元出身の市議会議員のお力も頂き、日向市長と市議会議長に要望活動を行って、被災者への見舞金支給に尽力したところです。

−−災害対策と復興について。

復興に当たり、一番の問題は事業所ごみの処分でした。台風災害による事業所ごみは、一般ごみとして処分場に出すことができないという事態に直面し、処分に多額の経費を要したことから、今後の対応などを踏まえて見直しをしてもらうようにお願いしています。
会員は「今年もまた来るかもしれない」という不安を持ちながら事業を再開しています。治水対策は時間のかかることではありますが、また同様の災害が発生すれば振り出しに戻ります。将来的には安全に事業展開ができる立地へ移転ということも視野にありますが、商売というものは広い道沿いで行うものですから、やはり従来の場所で営むことを望む会員は多いのです。

−−あらゆる物が高騰しています。商工会としてできることは。

原油高や物価高騰だけが理由ではないと思いますが、東郷町内で唯一だった創業71年の豆腐屋さんが昨年、廃業しました。また老舗の酒屋さんが昨年末に廃業するという届けがありました。後継者問題などもあると思いますが、会員にも少しずつ厳しい現状が及んでいる結果だと思っています。
地域が活性化するためには、やはり地域外から若い人・事業者を呼び込んで育成することを考えなければなりません。2、3年前には新しく商売を始める人が何人かありまして、昨年も1人ありました。そのほかにも林業者として独立する若い人や、インターネットを活用して販路拡大に取り組む事業所が出てくるなど、厳しい中にも明るさを感じる話題もあります。
商工会としても、事業継続に向けた計画策定の支援や、起業する事業者への支援・補助金、また、国・県・市などの消費喚起事業などについて積極的に情報を発信して使っていただくこと、事業者や地域の声を行政に届けることを大切にしたいと思っています。

−−今年の課題と意気込みをお願いします。

世界的に変動の激しい社会情勢の下、生産資材の価格高騰とコロナ禍、さらに少子高齢化の加速化と、自助努力を越えている部分もありますが、私たちはコロナが収束し災害の無い安心・安全な地域環境の維持を強く願っています。
今後も、会員に寄り添い、さまざまな支援制度を周知・活用しながら、少しでも明るい話題が届けられるよう地域を盛り上げていきたいと思っています。各地で少しずつ催しも増えてきたようですし、東郷でもコロナ禍前にやっていた夏のうなぎつかみ取り大会や秋の収穫祭を復活させたい。
コロナに対する意識も変わってきました。第5類に移行すれば、社会的な受け取り方もさらに変わってくると期待しています。東郷地域において唯一の経済団体として、今後も多面的な視点に立ち、効果的な地域振興に取り組み域内の経済発展に寄与してまいりたいと思っています。

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