本紙掲載日:2023-02-07
(7面)

2023延岡花物語(4)−体動かす楽しさ知って

18、19日、五ケ瀬川河川敷に体験コース

◆ミニサスケ主催者の長野誠さん(第17回サスケ完全制覇者)

 延岡市の五ケ瀬川河川敷で18、19日に開催される「このはなウォーク」で、第17回SASUKE(サスケ)完全制覇者の長野誠さん(50)による「ミニSASUKEコースチャレンジ」が開催される。イベントを前に、開催のきっかけや、地元延岡での幼少期時代を振り返ってもらった。

−−(新型コロナの影響で)2回の中止を経て開催する。開催のきっかけは。

もともと、会社の事務所がある鹿児島県いちき串木野市の「マグロフェスティバル」にゲストで呼ばれ、(ミニサスケを)やってきた。すごい反響で、やりたい子どもも毎回たくさんいる。
地元でもっと、サスケを知ってもらいたいというのもあるし、子どもたちに体を動かす楽しさを分かってもらいたい。「延岡でやれたらいいよね」という話をしていたら、谷平興二さんの耳に入り、「延岡花物語でやったらどうだ」って、やることが決まった。
自分が主催でやるというのは初めてだし、資金面の苦労もある。さまざまな人が協力してくれて延岡市市民まちづくり活動支援事業の助成を受け、開催する。

−−幼少期、そしてサスケとの出合いは。

北浦町古江の出身。生まれた時から中学まで北浦で過ごし、中学校の卒業式が終わってからすぐ、船に乗った。まだ誕生日が来てなかったから14歳。最初は島野浦で7年間、巻き網船に乗った。
北浦に戻って金比羅丸に乗っていた20代後半の時、サスケに冗談半分ではがきを出したら、「あと1週間後にあるんですけど来れますか」って返事が来て。「1週間後?会社にも言っとらんし」と思って、「すみません、ちょっと無理です」って断った。当時は半年に1回行われていた。「次ある時は必ずもう1回お願いします」と言った。
社長に話すと「なんで行かんかったとか」って言われた。「また次、選んでもらえた時は行ってもいいですか」って聞いたら、「行け」と言ってくれた。
その時、テレビ局の電話番号を控えていた。1カ月か2カ月置きに「大丈夫ですか。まだですか」と電話を入れていた。何回かやっているうちに「もう1回応募はがきを出してもらえますか」と言われて、はがきを出した。その時も「1週間後ですが来れますか」という連絡だったけど、「今度は行きます」と。
社長に電話で話すと「お前、靴とかジャージーとか持っとるんか。買い行くぞ」と言って買ってくれた。それで出たのが初めて。

−−最初は冗談半分だったのに、その後、何回も電話したのは。

絶対に出たい気持ちがめちゃめちゃあって。連絡があったことでもう、テンションが上がっている。もう次、絶対出てえって。まさか返事が来るとは思っていない。テレビ番組の人が、田舎の人間が出したはがきを選んでくれる、テレビ番組に出られるなんて思わないから。
「本当に来たんや」ってテンションが上がった。そこが俺のターニングポイント。はがきを出さなかったら漁師一本。冗談半分ではがきを出したことで人生が変わった。

−−初めてのチャレンジは。

最初も2回目も、そり立つ壁でだめだった。でもそこまで行く時間が誰よりも早くて、「こいつは誰だ」ってみんなに注目された。
すばしっこさもあるけど、パワー系が得意で自信あったから、「ここをクリアせんと、いくらパワー持ってても使えんな」って思って。3回目を前に、あまりにも腹が立つから自分で家にそり立つ壁を作った。
作って練習したらできた。「あれ?低いのかな」って思って30センチくらい板を付けてやったら、それでも届く。この体勢とか、行き方でいいんやって思って頭に入れた。あとは体力がそこまでちゃんと持つか、息が持つかというだけの話。
何回か練習して行けるって分かったら壁をすぐ壊した。漁師だから1カ月に休みは5日だけ。移動などで1日かかるから4日間しか動けなくて。前の月に作って練習して、次の月の休みの時にはもう壊したって感じ。
毎回100人が挑戦するが、3回目はその中で1番良かった。一気に第3ステージの、向こう側に飛び乗ればファイナルまで行けるってところまで行って。注目はしてもらえた。2001年に初めて出場して、06年に完全制覇できた。毎回現地に行ってみないと分からないし、練習なしの一発勝負。ワクワク感があった。

−−1年のほとんどを海の上で過ごしている。トレーニングは難しかったのでは。

実際、出る2週間前の2日間くらいしか、サスケのトレーニングはしていない。しかも1日1時間くらい。ダッシュ、懸垂、腹筋、腕立て伏せとか。筋肉を切らして筋肉痛にして、完全に治った頃にパワー、力が入るという感じ。

−−日常で鍛えられた身体能力だったのか。

小学生の時から鍛えていたから。2、3年の時にブルース・リーや、ジャッキー・チェンに憧れて、まねをしたり、体を鍛えたりとか。山を駆け登ったり、消波ブロックの上をポンポンポンって走ったり。そういうことばっかりやっていた。山とか川とか行けば、全部そんな感じで駆け回った。それがサスケの原点。
宿題もせんで遊びまくっていた。川に行って、コケが付いて滑る石の上を走ったり。そういうのもバランスとかあるからね。
川ではボラ釣り。20、30メートル先に投げて、ボラが泳ぐのを見ながら進んで引っかけるんだけど、目の前にガードレールがあるから、さおとか折れてしまう。だからガードレールの上に乗って投げて、ガードレールの上を走って横に移動して。そういうので鍛えられていると思う。すべて遊びから入っていると思う。
夏休みには基地とかも作っていた。さおを置いたり、休憩したりする場所にしよった。自分で組み立てることで、こうせんと倒れる、補強せんと強くならんっていうのが分かって、こういうのは(そり立つ壁などの)セット作りにつながっている。遊びから学んで今につながっている。

−−主催者側で開催するのは初めて。意気込みは。

多くの人に助けていただいているので、このままなんとか乗り切って成功させたい。
子どもたち、一般の人にサスケってどんなものかを体験してもらって、知ってもらって、体を動かす楽しさ、できなかった時の悔しさとか感じてほしいかな。
あとはテレビに出ている人たちが目の前にいるよって。今も活躍している常連さんも呼んでいるので。みんなイベントが好き。集まってくれてうれしい限り。
今回だけでなく、今後も延岡で子どもたちに体を動かすことを教えたり、一緒に楽しんだりしたい。


【ながの・まこと】延岡市北浦町古江出身。北浦小、北浦中を卒業後、漁師の道へ。島野浦の巻き網船「永伸丸」で7年働いた後、北浦漁協所属の巻き網船「第50金比羅丸」に乗り、現在は船長として鹿児島を拠点に出漁している。サスケには2001年に初出場。06年に史上2人目の完全制覇者になった。16年に引退。19年6月に延岡観光協会から第21号のべおか観光大使に任命された。市内在住。


◇SASUKEとは?
SASUKE(サスケ)は、1997年からTBS系列で放送されているスポーツエンターテインメント番組。特設されたセットで、鍛え上げた体の参加者がゴールを目指す姿は人気で、現在は世界の160以上の地域で放送されているという。五輪競技の候補にも挙げられ、注目された。
イベントでは、長野さん設計のセットが設営され、子ども向け、一般向けの二つのコースで、サスケを体験できる。
当日は長野さんに加え、2度完全制覇し「サスケくん」の愛称で親しまれる森本裕介さんや、日置将士さん、山本進悟さんも来場し、参加者をサポートしながら、攻略方法などを助言する。デモンストレーションも披露する予定。参加申し込みは締め切ったが、見学は自由。予約者の体験終了後、状況を見て当日申し込みも受け付ける。

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