本紙掲載日:2023-02-16
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送迎バス、園児置き去り防止へ

送迎バス置き去り事故防止の実証実験で2次元バーコードを読み込む保育士と延岡市職員(一ツ岡南幼稚園)

3園で実証実験−延岡市

◆国とは別に2次元バーコードで管理

 送迎バスに園児や児童が取り残される事故を未然に防ごうと、延岡市は国の対策とは別に、2次元バーコードを使った安全点検の実証実験を市内の3園で開始した。

 ACR(自動コンテンツ認識)技術や音響通信技術など音の信号処理に基づくソフトウエアやネットワーク関連技術の研究・開発と、多分野への応用で高い実績を持つエヴィクサー(本社・東京、瀧川淳社長)のサービス開発に協力。市内の一ツ岡南幼稚園(南一ケ岡)、東幼稚園(卸本町)、オルタナティブスクール里山保育つむぎ(追内町)で、今月15日から4月14日まで取り組む。

 実証実験では送迎バス内の後方座席や最後尾など、複数箇所に2次元バーコードのシールを貼付。運転手は園児が車から降りた後に残っている子どもがいないか点検しながら、2次元バーコードをスマートフォンで読み取っていく。

 すべての2次元バーコードを読み込むとスマホ画面に「完了通知」の送信ボタンが表示され、園職員などの登録先に安全確認を終えたことを知らせる仕組み。2次元バーコードシールは送迎バスの大きさなどにより何枚でも配置場所を増やせるほか、通知先も多数登録できるため、希望する保護者に毎朝知らせることも可能という。

 このうち、一ツ岡南幼稚園には13日に市の担当者が2次元バーコードシールを届けて、送迎バスの運転手や園職員が負担なく運用できることを確認。同園では普段から、どの園児がバスを乗り降りしたかを随時、専用のタブレット端末にワンタッチ入力して園関係者で共有し、送迎場所に園児がいない場合はすぐに保護者へ確認の電話をかけているという。

 同園のバス内は足元も障害物がない造りで全て見渡すことができ、運転手らは全員降車後に清掃も兼ねて細かく安全点検しているとして、「子どもの顔は覚えているし、あんな事故はあり得ない」と説明。それでも、先端技術を用いた対策に理解を示し、気が付いた利便性や課題点を市側へ報告することにしている。

◆4月から安全装置義務化

 市子ども保育課によると、市内で送迎バスを運用している未就学児対象の施設は19カ所(保育所5、認定こども園8、幼稚園4、認可外施設2)あり、過去に置き去り事故の報告はないという。

 一方、国は昨年9月に静岡県で送迎バスに置き去りにされた女児が死亡した事故を受け、今年4月から保育園や幼稚園の送迎バスに安全装置の設置を義務付ける。

 具体的には、^汰干稜Ц紊硫,轡椒織鷦悪⊃祐競札鵐察爾砲茲觴動検知式──で、エンジン停止後一定時間内に操作しなかったり子どもを検知した場合は、車内外に警報音が出る仕組みになるという。

 子ども保育課は国の対策に加え、実証実験によって保育現場での安全点検が自然な業務の流れに組み込まれることも期待。導入が前提ではないが、担当者は「現場から吸い上げた意見を、さらなる改善に反映できれば」と話している。

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