本紙掲載日:2023-03-29
(7面)

無形文化財の舞を満喫−延岡市北浦町

4年ぶり、桜咲く三川内神楽まつり

◆「これこそ祭り」花びら舞う会場で

 延岡市の無形民俗文化財である三川内神楽を通し、地域の魅力を発信する「第7回桜咲く三川内神楽まつり」が26日、同市北浦町の三川内ふれあい広場で4年ぶりに開かれた。天候が心配されたが屋外での開催が実現。時折、桜の花びらが舞う中、地区内外から訪れた人たちが久々の開催を喜んだ。

 三川内神楽は、歌糸、梅木、大井、市尾内、下塚の5地区で舞われている岩戸系神楽の総称。200年以上の歴史を持つ地区もあり、北浦町時代の1998年、無形民俗文化財に登録された。

 まつりは、「5地区集まって神楽を披露する場を」「過疎化や高齢化が進む三川内の地域振興に貢献したい」と2014年、当時の20、30代が中心となって始めた。

 コロナ禍で中止が続いたが、「今回はやりたい」と半年以上かけて準備。小学生以上の舞い手が、神楽17番を披露した。

 このうち梅木神楽保存会の「山ノ神」は、酒に酔って千鳥足で歩く様子を表した舞。観客が座る畳席で舞い、酔いつぶれた神が倒れ込むと、観客の子どもらが引っ張ったり、飛び乗ったりと、神楽に参加して大喜び。会場を沸かせた。

 友情出演もあった。同町海岸部の市振神楽保存会は、観客がしばを持って舞台を囲み、しばで床をたたく中、舞い手がそのしばを奪おうとする「柴引面」を、大分県佐伯市蒲江の竹野浦神楽保存会は、大漁豊作を祈願してタイを釣り上げる「恵比寿・大黒舞」と、薙刀(なぎなた)を操る「薙刀舞」を披露。三川内とは違う形態の神楽を、観客は興味深そうに鑑賞した。

 会場には飲食物や雑貨を販売する17の店舗やブースが並び、一角では同窓会を楽しむ姿も。山本亮二実行委員長(歌糸神楽保存会)の「2番戸取り」で演目が終わると、当たりくじ入りの餅まきで祭りを締めた。

 直前まで雨が降り、開始時刻を30分遅らせて実施したまつり。山本実行委員長は「ぎりぎりまで悩んだが、やっぱり外でやってよかった。この雰囲気が祭りという感じ」と喜び、「(今回の実施が)昨年は歌糸地区以外開催できなかった霜月祭(11月)の開催につながれば」と期待した。

◇中学生も協力

 まつりには、三川内中学校(和田健校長)も準備から協力。当日もボランティアとして参加するなどして運営を支えた。

 「地域の力になりたい」と、宮崎大学地域資源創生学部や延岡商業高校の協力をもらい、まつりに向けてのPRや接客などを学習。チラシや動画を作成し実行委員会に提供するなど大きな力となり、喜ばれた。

 当日は三川内の魅力を詰め込んだ卓上カレンダーやポストカードを抽選会で配布。出店者の販売活動も手伝った。有村洋輝さん(14)は「(手伝ったことで)地域の一員になれたと感じた。盛り上がっている姿が見られて幸せ。祭りが続いてほしい」と話した。

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