本紙掲載日:2023-03-29
(8面)

日向備長炭への理解深める

黒木さんから日向備長炭の魅力を聞く子どもら

森林保全、製炭業継承へ−美郷

 美郷町とNPO法人西林が主催する子どもたちと一緒に森を育む植樹イベント「もりをふやそう」が21日、美郷町北郷宇納間のスカイロッジ銀河村であった。町内の親子連れなど約60人が日向備長炭(宇納間備長炭)の原木であるアラカシについて理解を深めた。

 もりをふやそう第2回のこの日は、森林保全の大切さに加え、町の伝統産業である製炭業の継承を目的に美郷町備長炭製炭技術保存会(辰野宏視会長)が共催で実施した。

 当初は、参加者全員でスカイロッジ銀河村近くの町有林に植樹する予定だったが、雨だったため、同保存会のみで約600本のアラカシの苗を植えた。

 その後、スカイロッジ銀河村に集まった参加者と合流。記念植樹として子どもたちがアラカシの苗2本を植えた後、同保存会が製炭した備長炭を使った地元食材の炭火焼きを味わった。

 焼き手は、宮崎市にある地鶏炭火焼「粋仙」の代表、黒木伸行さん(40)。粋仙では創業当初から美郷で生産された日向備長炭を使用しているほか、同保存会と共に日向備長炭の価値を高め、世界に売り出すプロジェクトを行っている。

 黒木さんは、うまさの秘訣(ひけつ)は鶏4・5割、炭が4・5割を担っているとし、「香りが良く、温度がビシッと決まる。美郷の製炭は未来に残すべき素晴らしい技術」と力説。県産のピーマンや町産の鶏などを豪快かつ丁寧に焼き上げた。

 参加者は「割れてる炭と割れていない炭の使い分けは?」「備長炭だと何が違うの?」などと質問。製炭者と使用者の両者から話を聞きながら、出来たての炭火焼き料理を堪能していた。

 同町西郷から3きょうだいで参加した矢口奈々さん(13)は「学校で備長炭の学習はしたけど、実際に話を聞けて良かった」。弟の荘真さん(8)は「炭で焼いたお肉がおいしかった」と満足そうに話した。

 保存会の狩峰和彦さん(70)は「実際に使っている人の意見を聞けてとても有意義な時間になった。今後も生産者と使用者の交流の場を増やし、一般の人たちにも備長炭の魅力を知ってもらえるような活動をしていきたい」と話した。

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