本紙掲載日:2023-05-08
(3面)

大型連休総決算−行楽地にぎわう

 最長で9日間という今年の大型連休だったが、後半の雨など、天候に水を差された格好の県北の観光地や施設もあった。ただ、行動制限がなくなったことで、脱コロナへの動きも加速。苦しんだ過去3年に比べて、大勢の人が繰り出し、各地で家族連れの笑顔が広がるなどにぎわった。

◆延岡市−前年を上回る人出・各施設ともにぎわう

 延岡市内の誘客施設も好調で、ヘルストピア延岡(長浜町)は期間中のイベントが奏功して「コロナ禍前のにぎわいを取り戻した」。子ども料金を無料としたこどもの日を中心に、福岡、熊本、大分など県外客も多数来場。前年同期を50%以上上回る入館者数となり、同施設は「夏休みに向けて大いに期待できる」と喜んだ。

 須美江家族旅行村は4月29日からすみえファミリーフェスティバルを開催。初日から雨に泣かされたが、ステージイベントやハイハイ競争などを実施した3、4、5日は比較的天候に恵まれ、6千人近い来場者でにぎわった。

 「この3日間だけ見れば、コロナ禍前の95%くらい。ほぼ元に戻った感じ」と甲斐繁男村長。高速道路を使った大分県からの来場者も多く、海外客もいてイベント出店者からも喜びや驚きの声が聞かれたという。

 延岡市駅前複合施設エンクロスには、周辺ホテルの宿泊客が憩いや土産物を求めて多数来場。県産完熟マンゴーは連日売り切れ、外国人旅行客が館内イベントに参加する姿も目立った。雨が多かったため遊び場を求めて来る子ども連れの利用者が多く、スタッフは「常に人が途切れない状態だった」と振り返った。

◆GGNでホテルなど満室状態

 宿泊施設は3〜5日をピークにフル稼働。このうち、延岡市内では4日の「第34回ゴールデンゲームズinのべおか」に参加した陸上競技関係者を中心に、前日の3日から満室が相次いだ。

 市内のホテル担当者は「ゴールデンウイークは全国旅行支援の対象外だったが、県外からも多くのお客さまが訪れ、明らかに昨年を大きく上回る宿泊数となった」と手応えを語った。

◆道の駅は前年比1割超の増

 いずれも多くの家族連れなどでにぎわいを見せた道の駅北川はゆま・北方よっちみろ屋・北浦は売り上げ、来場者数共に前年比(3駅平均)で1割以上増えた。

 北川はゆまは連日、早朝から駐車場がほぼ満車となり、東九州道を利用する県外ナンバー車で混雑。北方よっちみろ屋は高千穂方面の行き帰り客が数多く訪れ、弁当類の販売が顕著に伸びた。北浦はケビンが連日ほぼ満室で、レストラン海鮮館も3、4、5日は終日満席状態。連休に合わせて新発売したプリン「満月の雫(しずく)」も人気を集めていた。

 3駅を管理運営するのべおか道の駅株式会社の睫攀輔社長は「数字の面ではコロナ禍前の水準にやや足りなかったが、連休後半の悪天候を踏まえると、健闘できたと思う」と総括。2020年以降に進めてきた各駅の施設改装で「来場者の受け入れ数向上、動線の円滑化などがはっきりと見て取れた。来年以降も楽しみ」と、大きな手応えを感じた様子だった。

◆日向市−人気のスケルッチャ!・3日は約1200人

サーフスポットや道の駅日向も

 日向市は、柱状節理の断崖絶壁、太平洋の大パノラマが楽しめる日向岬の馬ケ背、クルスの海を中心に、お倉ケ浜や金ケ浜のサーフスポットなどが人気だった。連休中を通して雨や曇りの日が多く、屋外の観光地、施設などは昨年ほどの人出はなかった。

 馬ケ背のスケルトン突き出し展望スペース「スケルッチャ!」は、4月30日に来場者10万人を達成。10万人目となった鹿児島の小学生に宿泊券などが贈られた。同所のピークは3日。1日で約1200人が訪れたが、天候不順の影響もあり、連休中の来場者は昨年を下回った。

 同市幸脇の物産館「道の駅日向」は、前年に比べ1割増。駐車場が満車となる時間帯もあり、付近の道路は終日混雑した。県外からの家族連れなどが多く訪れ、完熟マンゴー「太陽のタマゴ」、細島産イワガキ、日向夏などが土産品として売れたという。

 サーフスポットのお倉ケ浜や金ケ浜にも大勢のサーファーが訪れ、駐車場には県内外のナンバーが並んだ。

◆西郷−百済の里まつりなど昨年より多い来場者

 石峠レイクランド西郷は、通常の休日に比べるとやや人出は増えたが、天気の影響もあり、例年に比べると少なめ。コテージは3日は満室となったが、その他は利用率50%にとどまった。

 南郷温泉「山霧」は、コロナ禍前には及ばないものの、最近では一番の来客数で家族連れが多かったという。

 百済の里春まつりは、韓国文化を楽しむ「Koreanフェス」として開催。主催者によると昨年の1・5〜2倍の来場者でにぎわった。

◆高千穂町−人気のボート周辺混雑・インバウンド大勢

 コロナ禍による入国制限が解除され初めて迎えた大型連休(4月29日〜5月7日)の期間中、県内有数の観光地、高千穂町は大勢のインバウンドや町内外の家族連れらでにぎわった。

 高千穂町観光協会によると、国指定天然記念物の名勝・高千穂峡では貸しボートの営業時間を1時間早め、チケットは4月30日〜5月5日が予約で完売。混雑解消のため、周辺の臨時駐車場を約30分間隔で循環する有料シャトルバスを運行した。また、高千穂神社(後藤俊彦宮司)神楽殿で行う高千穂神楽の公演を1晩2回に拡充。事前ネット予約の部と当日受け付けの部を設け、どちらも大勢が訪れたという。

 天岩戸神社(佐藤永周宮司)では2、3日に春季大祭が開かれ、境内に多数の出店が並んだ。このうち3日は、新型コロナウイルス感染症の影響で自粛していた御神幸祭を4年ぶりに実施。地元の神楽、棒術、鐘太鼓、臼太鼓踊の保存会員らでつくる神輿(みこし)行列を見物客が囲んだ。

 旧TR高千穂線を活用したコンテンツで人気を集める高千穂あまてらす鉄道(盪格孤Ъ卍后砲蓮高さ105メートルの鉄橋から望む絶景が目玉の「グランドスーパーカート」や有志によるカートの試乗体験が好評だった。1〜5日は臨時便を運行、3〜5日は夜間特別便「トワイライト号」の運行もあり、乗車希望者がひっきりなしに訪れた。

 町中心部にある道の駅高千穂(後藤徳雄館長)とがまだせ市場の鬼八の蔵(内倉亜澄店長)は、県外ナンバーやレンタカーで駐車場が満車になる日も。入り口にインバウンド向けの店舗案内を掲示している飲食店や商店なども多かった。

◆北浦町−1分間にどれだけ入る

人気の魚の詰め放題−長蛇の列・北浦の海市場

 延岡市北浦町古江の北浦臨海パークきたうらら海市場で3、4日、きたうら海友(宇戸田実也社長)による「魚詰め放題大会」があった。1分間で指定の袋に好きなだけ魚を詰めて持ち帰ろうという企画。漁師でもある宇戸田社長が「釣った魚を、より多くの人に食べて、親しんでもらいたい」と毎年開いている。

 3日は、北浦近郊で釣れた合計1トンを超える「アオアジ」を用意。レストランテラス前の会場には、瞬く間に長蛇の列ができた。

 参加者は支給された手袋とポリ袋を手に、箱分けされた魚の袋詰めに挑戦。それぞれ家族や友人同士でチームを組んだり、袋の口を大きく広げ、少しでも多くの魚を持ち帰ろうと必死に工夫を凝らした。

 初めて家族で参加した日向市比良町の久徳航平さん(9)は「(アオアジは)ニョロニョロしていて、冷たかった」と感想。「思ったよりたくさんの魚が取れて満足。帰ったら塩焼きにして食べたい」と笑顔だった。

◆門川町−入浴者は昨年より約1割増える・かどがわ温泉

 門川町のかどがわ温泉心の杜(もり)の入浴者数は4月以降、コロナ禍前の水準に戻りつつあり、4月29日〜5月7日(9日間)は7205人と、昨年の大型連休と比べ約1割増えた。

 3〜5日は小学生以下の入浴料を無料にして喜ばれた。また、晴れた日には隣接する多目的広場も多くの家族連れでにぎわい、子どもたちの歓声に包まれた。

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