本紙掲載日:2023-05-12
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専門医を育成、増加に期待

荒川教授を中心に、向かって右が金井院長、左は川医師。延岡リハの理学療法士黒木慎太郎さん(左端)、事務長押川裕一さんと共に

延岡リハビリテーション病院、県北の研修施設に

◆基幹病院は宮大付属病院

 高齢化の進展に伴い、急性期を脱した患者の身体的機能を保持・向上させ、地域生活へ帰すリハビリテーション医療の重要性が増している。宮崎大学医学部付属病院では一昨年、リハビリテーション部に教授職が新設され、荒川英樹医師(49)=宮崎市出身=が就任。不足しているリハビリ専門医の育成に力を注いでいる。今年度からは、延岡リハビリテーション病院(金井一男院長)=延岡リハ=で1人が、専門医の資格取得を目指して研修を始めた。

 医療資源の有効活用や増大する医療費の抑制のため、「病院・施設から地域生活へ」が叫ばれ、回復期リハビリテーション病床が制度化されたのは2000年。県北にも延岡リハ(長浜町)、延岡共立病院(山月町)、平田東九州病院(同市伊形町)、済生会日向病院(門川町南町)、和田病院(日向市向江町)の5カ所にリハビリ病棟がある。しかし専門医は、同じ「基本領域」である内科や外科に比べて圧倒的に少なく、日本リハビリテーション医学会によると全国でも2818人、県内は20人しかいない。

 専門医になるには、学会が認定し日本専門医機構が承認した専門研修プログラム(3年間)を受ける。育成する側は、機構に承認されるプログラムを作成。一病院の性質による教育の偏りを防ぐため、基幹施設の他に連携施設を必ず設け、循環型の研修を提供する。研修施設には、常勤の指導医がいなければならない−などと定められている。

 現在、宮崎大の管轄で研修施設の条件がそろっているのは同大医学部付属病院、延岡リハ、田野病院(宮崎市)、潤和会記念病院(同)の4カ所のみ。県南にはまだないが、同大は、付属病院を基幹病院として、県央、県北、県南に連携施設を設けたい考え。

 今年度は2人が同大付属病院リハビリテーション科専門研修プログラムに応募し、1人が延岡リハ、1人は潤和会記念病院で研修することで、この体制づくりの第一歩が踏み出された。11月には、日本リハ秋季学術集会が、初めて県内で開かれる予定という。

 延岡リハの金井院長(58)=延岡市出身=は「学会が地元で開けるのも、帖佐悦男宮崎大学付属病院長の求心力のもと、教授職が新設され、荒川教授が就任されたからこそ。県全体のリハビリ医療のレベルアップ、専門医の増加に期待している」。

 延岡リハで研修する川弘貴医師(29)=宮崎市出身=は「首を痛めた父のリハビリの様子を見た時、療法士はいるが、マネジメントする医師が足りていないと感じた。だからリハビリ専門医を目指そうと決めた」と話していた。

◇荒川宮大付病院教授が月2回診療

 荒川教授によると、リハビリテーション医療は「単に疾病の治療だけでなく、機能回復や社会復帰を目指す幅広い領域を含んでおり、『活動を育む』ための医療と定義されている」という。

 「県内で必要とされる専門性のあるリハビリ医療と、それを実践できる人格と能力を備えた医療人を育成し、臨床、教育、研究をより一層発展させたい」と抱負を話した。

 荒川教授は、県北との連携促進と川医師の教育を兼ねて、月2回、延岡リハを訪れる予定という。併せて外来診療を行う。第2火曜日午後がリハ専門外来、不定期の金曜日午後は装具相談。問い合わせ先は延岡リハ(箟箍21・6211)。

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