本紙掲載日:2023-05-18
(3面)

雑草抑制と遠隔監視ロボット・雷鳥1号を初公開

テムザック−延岡市、北浦農業公社と連携協定

◆省力化を追求、ワークロイド農業−耕作放棄地解消などに期待

 人手を極力減らす〃省力化農業〃が延岡市北浦町で始動した。労働の大部分を担うのは、テムザック(川久保勇次代表取締役社長、本社・京都市)が開発、製造を手掛けるロボット「ワークロイド」。昨年12月に3者連携協定を結んだ同市や北浦町農業公社と共に、稲作農業の自動化や遠隔作業の実現を通して耕作放棄地拡大の防止、日本の食料自給率維持を図る。

 テムザックは北浦町内のほ場で16日、水田管理を行うワークロイド「雷鳥1号」を初公開した。アイガモを模したデザインの自立型と遠隔操作型の2種類で、いずれも背中の太陽光パネルで発電しながら動く。

 自立型は、外輪で航行しながらひれのような足を動かすことで水田の泥を巻き上げて光合成を防ぎ、雑草の生育を抑制する。遠隔操作型は、搭載したカメラで水田やアルファの様子を確認、監視する。お披露目では、4月に種まきを行った実証用水田(約10アール)に自立型5台と遠隔操作型1台が放たれ、優雅に泳ぎながら仕事をこなす姿で関係者を沸かせた。

◇ドローンで種もみまきも公開

 この日は、スマートフォンで給水・止水することができる水管理システムと共に、ドローンによる種まきの様子も公開された。

 ドローンはあらかじめ水田のデータを入力することで、離陸後に高さ約2メートルを維持しながら10アール当たり約3分のペースで自動種まきを行うことが可能。種もみには水に沈みやすく、鳥害防止の効果も見込める酸化鉄コーティングが施されている。

◇収獲用雷鳥2号も開発中−3年以内にシステム構築へ

 テムザックは水位や水温、気温、湿度、風速、雨量などを自動測定できるセンサー類や通信基地局も導入しており、北浦町内3カ所の水田で各種データを取得しながら実証を続ける予定。米の収穫を行う「雷鳥2号」も開発中で、3年以内に省力化を追求したワークロイド農業のシステムを構築し、冷熱利用の粉砕プラントによる米粉生産につなげていくという。

 睨寨朧豕陳垢惑清判昌者の高齢化を挙げながら「収量の最大化ではなく、いかに手間を掛けず、多くの耕作放棄地で農作物を生産できるかに重点を置いている」と方向性を示唆。「現時点で、労働コストが相当減少できるという予測を立てることはできている。(将来的には)延岡から日本中の耕作を請け負う会社をつくることもできるかもしれない」と話した。

 公開を見守った読谷山洋司延岡市長は「耕作放棄地の解消、中山間地農業に光を当てる取り組み。スマホによる遠隔操作ができるという点も兼業での稲作に有用。新しい働き方を生むのではないか」と今後の事業展開に期待を寄せていた。

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