本紙掲載日:2023-05-19
(2面)

「大吟醸千徳」が優等賞−千徳酒造

清酒部門と本格焼酎部門で受賞した優等賞の表彰状を持つ門田社長(中央)。左は優等賞に輝いた「大吟醸千徳」と焼酎「千徳」を持つ製造主任の門田さん。右は副杜氏の甲斐さん

23年酒類鑑評会−15年連続17回目

◆初出品の焼酎も

 熊本国税局主催の2023年酒類鑑評会の清酒部門で、延岡市大瀬町の日本酒専門蔵「千徳酒造」(門田賢士社長)が出品した「大吟醸千徳」が15年連続17回目の優等賞を受賞した。また、本格焼酎部門に出品した同社初の焼酎「千徳」も優等賞に輝き、ダブル受賞を果たした。

 清酒部門は「熊本酵母吟醸酒の部」と「その他の吟醸酒の部」に、同局管内4県(宮崎、熊本、大分、鹿児島)の延べ26製造場が97点を出品。このうち8製造場の22点が優等賞に輝いた。

 同社は、「その他の吟醸酒の部」に山田錦を酒米に使った「大吟醸千徳」5本を出品。内訳は米の60%を削った精米度40%の大吟醸を1本、同じく精米度40%と50%の純米大吟醸を2本ずつで、このうち精米度50%の純米大吟醸1本を除く4本が優等賞を受けた。昨年に続き、同じ本数が受賞する好成績となった。

 本格焼酎部門には「甘藷(かんしょ)の部」「米の部」「麦の部」「黒糖の部」「そば・その他の部」に、延べ206製造場が452点を出品し、70製造場の112点が優等賞に選ばれた。

 同社の焼酎「千徳」は酒かすが主原料で、「そば・その他の部」に分類。高千穂酒造、雲海酒造といった老舗酒造メーカーと並ぶ堂々の受賞となった。

◇副産物・酒かすを二次利用−焼酎、年内に商品化予定

 酒かすは日本酒の製造工程で出る副産物。甘酒やかす漬けに欠かせない物として重宝される中、同社はコロナ禍での新たな戦略として、また、企業のSDGs(持続可能な開発目標)に対する姿勢が問われる昨今、新たな二次利用法として取り組んできた。

 3年前、焼酎製造の臨時免許を取得して開発に着手。今年4月、正式に免許が交付されたことから初めて鑑評会に臨んだ。アルコール度数は25%に調整してあり、麹(こうじ)の華やかな香りが特徴という。

 門田社長(59)は「日本酒蔵として引き出しは多い方が良いと思ったのが、焼酎製造に乗り出したきっかけ。原料の酒米が良いので、酒かすもぜいたくな物。さらに、焼酎を製造した後の酒かすは発電用燃料に使われるため、無駄がない」。

 焼酎は年内に商品化の予定で、これから付加価値を高めるためのアイデアやネーミングを考え、「オリジナリティーのあふれる商品に育てたい」という。

 日本酒も焼酎も、仕込みから完成までを指揮する副杜氏(とうじ)の甲斐生剛さん(48)、製造主任の門田優希さん(31)がそれぞれに腕を上げ、感覚に磨きを掛けてきたことが「大きな力になっている」と門田社長。

 さらに、今回の鑑評会で門田社長は「製造責任者代表」としての表彰も受けており、「蔵の代表としてこのような賞を頂いたことが本当にうれしい。社員全員の酒造りへの思いが結実したと思っている。これからも真面目に正直に酒造りにまい進していきたい」と自信を深めている。

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