本紙掲載日:2023-05-26
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障害者雇用倍増へ

スタートを記念シンポジウム−延岡市

◆総社市、鎌倉市と結び−先進事例学ぶ

 延岡市は、障害の有無にかかわらず共に安心して暮らすことを目的に、今年度から障害者雇用倍増に取り組む。スタートを記念したシンポジウムが24日、オンラインで開かれ、会場の社会教育センターには一般企業や福祉事業所の関係者らが訪れ、先進的な事例などを学んだ。

 市は昨年7月、岡山県総社市、神奈川県鎌倉市と「障がい者雇用の推進に関する包括連携協定」を締結。シンポジウムでは3市の市長がシンポジストを務めた。

 障害者1000人雇用に取り組んできた総社市の片岡聡一市長は、現在1289人を雇用し、そのうち一般企業や公的機関で働く一般就労が65%(850人)、障害者支援事業所で働く福祉就労が35%(439人)であることを紹介。障害者雇用関連で市の単独予算が6億5千万円程度で、「投資してでも完遂したい」と語った。

 また、1289人のうち7人は、生活保護受給者が就労によって納税者になったことを報告。「障害者雇用をどんどん進め、法定雇用率に満たない中小零細企業に雇用させること、競争力を持って工賃を上げることが役割。全国に広めたい」と話した。

 障害者2000人雇用を目指している鎌倉市の松尾崇市長は、障害者手帳所持者のうち働く年齢の18〜65歳が2696人(2017年3月)であることから雇用の目標数を2000人にしたこと、昨年度末に初めて福祉就労を一般就労が上回ったことなどを報告。障害者や引きこもり状態にある人にIT業務を中心に在宅、通所の二つの方法で就労機会の創出を図っていること、農業就労体験セミナーを実施していることなども紹介した。

 読谷山市長は、2021年度から「親なき後の暮らし支援策」に取り組み、現在、延岡わかあゆ支援学校跡地(松山町)に「ごちゃまぜでつながる安心創造拠点」を整備することを目指し、専門家を交えた議論を重ねていることを報告した。

 障害者雇用は昨年6月1日時点で601人。今年度からは、障害者を新たに雇用した中小企業や就労継続支援A型事業所、就労継続支援B型事業所に対し、奨励金を支給する事業を始め、26年度末までの倍増実現を目指す方針を語った。

 3市の市長による発表後には、厚生労働省職業安定局障害者雇用対策課の小野寺徳子課長を交えて意見交換が行われ、障害者自身もスキルを上げ、自分たちで仕事を探したり、つくり出したりする必要性があることなどについて言及。

 小野寺課長は「雇用の数だけでなく、一人一人が持てる力を発揮して、働くことを通じて成長し続ける環境づくりを目指して法改正が行われた。地域づくりの一環として市長の皆さんにはリーダーシップを発揮してほしい」と述べた。

 シンポジウムの様子は市の公式ユーチューブで配信を予定している。

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