本紙掲載日:2023-06-15
(3面)

談話室−名古屋大学博物館長の吉田教授

少しでも社会にフィードバックしたい

 「自然から学んだ現象を少しでも社会にフィードバックできれば」と話すのは、延岡市出身で岐阜県在住の名古屋大学博物館長吉田英一教授(61)=写真=。海底等の地層中にできる球状の岩石「球状コンクリーション」に関する研究の第一人者で、現在は宮崎県総合博物館と共に県内のコンクリーションを調査している。

 球状コンクリーションは、海水のカルシウムと生物の炭素からなる炭酸カルシウムを主成分とし、内部からはその生物の化石が見つかることが多い。吉田教授は昨年12月、同市須美江海岸で球状コンクリーションを発見。県北で初の確認例となった。

 数カ月に1度の帰郷の際には、旭小・中学校時代の同級生との懇親会などで旧交を温めているという吉田教授。「須美江では生物の巣穴が化石化した『生痕化石』も見つかっていて、共にきれいな状態というのはとても珍しい」と地元での貴重な発見を喜んでいる。

 球状コンクリーションの形成メカニズムを応用したコンクリーション化剤の開発も進行しており、「二酸化炭素の地中処理や放射性廃棄物の地下処分の際の安全性確保、トンネルの補強などにも生かせると思う」とし、研究成果の社会還元に意欲を見せている。

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