本紙掲載日:2023-06-20
(3面)

高校と企業の担当者が意見交換

市内五つの高校の進路指導担当教諭が集い、現状などを伝えた地域人財採用セミナー

最近の就職、採用事情−高校と企業の担当者が意見交換

◆選ぶのは就職を希望する側−選ばれる企業でなければ応募なし

 地域の就職事情を掘り起こし、〃人財〃不足解決のヒントを探る「地域人財採用セミナー」が12日、延岡市幸町の市コワーキングスペースであった。市内五つの高校の進路指導担当教諭が就職の現状を説明。市内23の企業や事業所の採用担当者らと意見交換を行った。

 多くの企業等が深刻な人手不足に悩む現状や企業に求められていることを知り、採用につなげてもらおうと、延岡経済リンケージ機構とアトミカが企画した。

 第1部では、宮崎大学学び・学生支援機構地域人材部門「キャパタス」県内就職支援員の竹之下一也さんが講話。高校3年生の数は30年間で約半数になっており、県内就職率は約65%と上がったが、就職する高校生が減っていることを伝えた。

 変化した点として、以前は企業が生徒を選んでいたが、現在は高校生が企業を選んでいることを挙げ、「まずは選ばれる企業でないと、応募がない」と指摘した。

 続いて、延岡工業、延岡商業、延岡青朋、延岡学園、聖心ウルスラ学園の進路指導担当の教諭が登壇。県教育庁高校教育課就職支援エリアコーディネーターとして、県北の高校を担当している桑原寿美さんの進行で、生徒の就職状況、企業を選ぶ際に重視していることなどを伝えた。

 今年3月の卒業生のうち、約150人が民間企業に就職したという高校の担当教諭は、「コロナ禍で移動制限があった時は県内への就職希望が増えたが、今年は県外希望者が上回る逆転現象が起きている」と報告。「子どもが好きなようにしてほしい」と話す保護者が多く、教職員も、進路指導を行う際はどこで働くかより、どんな仕事がしたいかを重視していることなどを紹介した。

 就職と進学が半々という高校の担当者は、「保護者の企業に対する印象や口コミが、生徒が選択に揺れている際の決め手になっている」と、就職に保護者の意見が重要視されている現状を明かした。以前の様に、教員が生徒に企業を提示するのではなく、生徒の「受けたい」という意志を優先し、受験させる指導に変わっているという。

 また複数の高校から、「先輩が働いている」という理由で企業を選ぶ生徒が多いことが報告され、「採用担当者より、高校のOBにアプローチしてもらう方が生徒には響くのではないか」という提案もあった。

 第2部では、登壇した教職員らも入って「今、選ばれる企業とは」をテーマに意見交換。メモを取ったり、それぞれの立場から質問し合ったりする姿が見られ、熱心に意見が交わされた。

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