本紙掲載日:2023-06-20
(6面)

延岡大空襲の恐怖伝える

戦時中の暮らしも紹介−企画展「空襲の記憶」

◆「知らない人が多くなっている」

 1945(昭和20)年6月29日の延岡大空襲をテーマにした企画展「空襲の記憶」が20日から始まった。会場である延岡市本小路のカルチャープラザのべおか2階のセミナー室前通路には、焦土と化した市街地の様子が分かる写真、体験者の証言を集めたパネルなどが多数展示されている。主催は市教育委員会と夕刊デイリー新聞社。7月9日まで。無料。

 「戦時下の延岡」では、北町在住の黒木民雄さんが当時の思い出を書いたパネルと、40(昭和15)年に撮影された延岡尋常小学校1年竹組のクラス写真が並ぶ。また、岡富小学校の講堂で行われた、戦死者の合同葬儀「市葬」の写真もある。

 県立延岡高等女学校に関する写真は、戦局の悪化に伴い女学生の服装がどのように変化したかが分かる写真3点(寺原八千代さん提供)を展示。生徒の足元を見ると、1年生時には靴を履いているが、3年生の時には、げた、4年生の時には、はだしになっており、物資不足が読み取れる。

 絵と文章の組み合わせで延岡大空襲を語り継ぐのは、延岡市出身の画家渡木真之さんとイラストレーター安田善吉さん。渡木さんの絵は、あまりにも悲惨でフィクションとも思えてしまうが、文中に「安賀多橋」などの具体名が登場し、延岡の出来事であることを再認識させる。

 安田さんは、戦時中の市民の暮らしを伝えている。空襲後、熱で溶けたアスファルトの上を足跡を付けながらはだしで歩く少年を描いた絵などがあり、空襲時の〃日常〃を垣間見ることができる。

 今から38年前に西階中1年生が、夏休みの宿題として延岡大空襲体験者から話を聞き、印象に残った情景を描いた絵画も展示している。

 延岡大空襲から41年後の86(同61)年に夕刊デイリー新聞に掲載された全11回の連載記事を拡大したものも展示。体験者が語る焼夷(しょうい)弾の脅威、恐怖などがリアルな言葉でつづられている。

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