本紙掲載日:2023-06-21
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21日夏至−河口に命の波紋

腹を開け、体を震わせて幼生を川に放つカニ。岩場には〃順番待ち〃の列ができた(日向市の塩見川河口)

カニの幼生放出

 21日は二十四節気の一つ「夏至」。一年で最も日が長くなる。言葉の通り本格的な夏の始まりも意味するが、県北地方は梅雨前線の影響で朝から雨となった。

 この時期、遅い日暮れをジッと待つのは陸地にすむベンケイガニの仲間。ふ化したばかりの幼生を放つ「幼生放出」がシーズンを迎えている。

 夜の海や河口域で営まれる神秘的な光景は、毎年この時期から8月ごろまで大潮の満潮時に観察される。

 日向市の塩見川河口では19日、赤いはさみが特徴のアカテガニやベンケイガニが続々と岩場に集まり、辺りが薄暗くなった午後7時30分すぎから放出を始めた。

 川に入った雌がブルブルと体を震わせると波紋が幾重にも広がり、開けた腹から「ゾエア」と呼ばれる幼生が煙幕のように流れ出た。

 幼生は脱皮を繰り返して1カ月で体長3ミリほどに成長する。天敵はボラ。カニのすぐ目の前で放出を待ち構え、大きな口で吸い込んでいた。

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