本紙掲載日:2023-06-22
(8面)

故本田誠人さん原作「これは、私の落とし噺」

直前インタビュー(2)ラジオドラマを舞台化−25日、野口遵記念館で上演

 ユニット「あんてな」がプロデュースする舞台「これは、私の落とし噺(ばなし)」の直前インタビュー。第2回は、主人公の女子高生・真夏に落語を教える「柱大黒天」のモデルで元落語家の柱大黒=本名・甲斐伸也=さん(47)。本田さんとの関係や舞台化への思いを聞いた。

◆本田イズムの集大成「楽しみ」落語監修、指導−柱大黒さん
 落語を使った舞台にうれしさ−耳で聞いた場面、見る楽しみも

−−本田誠人さんとは、ラジオドラマ放送前に本紙が行った対談が、しっかり話した最初で最後の機会だと聞いています。

舞台を見に行ってあいさつする程度で、がっつり話したのはこの対談でした。「これは、」が本田さんの遺作と言われていますが、(ラジオドラマ放送前に本田さんが本紙で連載した)「柱大黒という男」が本当の遺作かもしれません(笑)。
本田さんの素晴らしいところは、舞台の脚本ではなく新聞の連載であっても、1日分、1日分、ちゃんと事細かく、ちょっとのギャグとか、面白さの振りとかを「大黒さんどう思う?」と確認し、やり取りしながら作り上げられました。落語家時代とかの写真も10枚ぐらい渡したら、「もっといいのないの?」ってアグレッシブで。
今になって思うと、亡くなる直前まで書かれていた文章なので、お体が大変だったろうに。これが本当のエンターテイナーだなって。
本当は「柱大黒という男」も舞台化させたかったらしいんです。「これは、」の脚本を書いているうちに、「大黒さんで一つの脚本を作りたい」って思ってくださったみたいで。スピンオフで連載してくれました。

−−連載やラジオドラマの後はどのような話をされましたか。

連載後、あまり連絡が取れなくなりました。恐らく、闘病が激しくなった頃だったと思います。
やり取りしている時は、きつさは全然感じませんでした。闘病していることはフェイスブックで知っていましたが、多分、治るんだろうなって。
1カ月ぐらい前にお会いして、あんなに「次はこういうことをしよう」と笑顔を見せていたのに、亡くなったというのはいまだに信じられなくて。どこかその辺りで、会館のどこかで打ち合わせをしているような感覚です。マイケル・ジャクソンと同じような、どこかで生きているんじゃないかって。亡くなったことを認めちゃうような気もして、線香上げにも行けていません。
今回、舞台化の話を聞いた時はいかがでしたか。
うれしかったですね。それこそ誠人さんと、「これ、宮崎で舞台化したら面白いですよ。地元の俳優とか、子どもたちと一緒に」って話をしていたんです。
舞台化の話をした時、笑顔の中にも曇った感じがあったのを覚えています。今考えると、「舞台化する時に俺はいるかな」っていうリアクションだったのかなという気もします。

−−今回、落語の監修、指導を担当されています。本番に向けて期待することをお聞かせください。

フライヤーを見ても、本田誠人愛があふれ出ているのが分かります。俳優さんとか、演出家さんとかいろんな方々の本田誠人イズムというか。集大成がこの舞台だと思います。
本田誠人を愛した人たちが、落語を使って舞台にしてくれたというのが非常にうれしくて。ラジオドラマはそれぞれの想像で楽しむことができますが、落語という人間を描く芸を使って、舞台で個人個人が表現するというのが、どういう感じで本田イズムが見れるかを楽しみにしています。
待ち遠しくて、いろんな所で宣伝しています。舞台で初めて見る人はもちろん、ラジオドラマを聞いた人は自分が描いていた場面が映像化されますし、両方の楽しみ方ができるのではないかと思います。


◇24日からは本田誠人展も

 「これは、私の落とし噺」は25日午後2時から、延岡市東本小路の野口遵記念館で開かれる。

 同館の開館記念イベントとして開催。ユニット「あんてな」メンバーのほか、劇団「ペテカン」の濱田龍司さん、FUKAIPRODUCE羽衣の日盞鴫陲気鵑蕕出演。地元の人たちもエキストラとして複数登場する。

 また、24、25日の午前10時〜午後6時は「本田誠人展」も開催。幼少期の写真や直筆のノート、手掛けた作品のポスターや脚本などを展示する。

 チケットは一般2500円、20歳以下1500円。当日はいずれも500円増。問い合わせは野口遵記念館(箟箍31・3337)。

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