本紙掲載日:2023-07-17
(2面)

よみがえる23年前の思い出

五ケ瀬中等校1期生−タイムカプセル開封

 県立五ケ瀬中等教育学校の1期生が、卒業時に埋めたタイムカプセルの開封式が16日、五ケ瀬町三ケ所の同校であった。卒業生38人中19人が出席。恩師ら5人も駆け付け、旧交を温めながら23年前の自分と対面した。

◆「頑張れ!」過去の自分からエール

 タイムカプセルは当時の保護者の発案を受け、高等学校に相当する後期課程卒業を記念して埋めたもの。「みんなが40歳になった時(2021年)に開けよう」と約束していたが、新型コロナウイルス感染症の影響で集まることがかなわず、今年まで延期されていた。

 この日は、当時の校長だった前田稔さん(80)=宮崎市在住=も訪れ、「着任したばかりの頃、何人かの生徒が校長室に詰めかけてきていろいろな質問をされたことを覚えている。人懐こく、物おじしない子どもたちだと期待していたが、立派な社会人に成長したようでうれしい」とあいさつ。

 物故者に1分間の黙とうをささげた後、幹事会(鬼塚保文会長)が途中まで掘り進めていた円柱型のタイムカプセル(高さ約80センチ、直径約40センチ)を全員で掘り起こした。

 ボルトとナットの厳重な封を、恩師らが「肌身離さず持っていた」という専用サイズのレンチで解き、いざ開封。未来の自分に宛てた手紙や学生証、部活用具、有名映画のフィギュアなどが続々と飛び出した。中には、教諭らが同封した「乾杯用」の焼酎もあり、出席者は「懐かしいね」「泣きそうや」などと口にしながら喜びを共有した。

 思い出話にひとしきり花を咲かせ、校歌を斉唱。前田さんからアメリカのエンターテイナー、フランク・シナトラの名曲「MyWay(マイ・ウェイ)」の独唱が贈られると、涙ぐんで耳を傾けている姿も見られた。

 卒業時の学級担任で現在、県立宮崎西高校の校長を務める谷口彰規さん(57)は「みんな42歳になる年だが、私にとっては昔と何一つ変わらず大切な教え子。社会人としてバリバリ活躍する年代なので、体にだけは気を付けて頑張ってもらいたい」とにっこり。

 延岡市出身で学級委員長だったという鬼塚会長(41)=宮崎市、公務員=は、「ピュアな気持ちを忘れず、頑張れ!」といった過去の自分からのエールに頬を緩め、「長い夏休みが終わり、再び学校が始まったような懐かしさを感じる。社会人として苦しい時ももちろんあるが、みんなの顔を見て、負けずに頑張ろうという前向きな気持ちが強くなった」とほほ笑んだ。

 同校は1994年、全国初の公立中高一貫教育校として設立。学校教育法の一部改正により99年、現在の校名へと改称された。五ケ瀬町の恵まれた自然で感性を磨き、個性を伸ばす教育を通して、創造性に富んだ主体的な成長を推進している。

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