本紙掲載日:2023-07-17
(8面)

語り継ぐ大切さ考える

ケーブルメディアワイワイ、夕刊デイリー新聞社共同制作

◆延岡大空襲伝える番組の上映と解説

 ケーブルメディアワイワイと夕刊デイリー新聞社が共同で制作した映像作品「戦争を知らない私がみた延岡大空襲」の上映解説会が1日、延岡市本小路のカルチャープラザのべおかであった。空襲経験者を含む42人が来場し、戦争を語り継ぐ大切さと平和の尊さについて考えた。同所で開催する上映・解説会(全2回)の1回目。市教育委員会、夕刊デイリー新聞社共催。

◆「戦争は歴史ではなく事実」

 企画・制作を行ったケーブルメディアワイワイのディレクター甲斐帆夏さん(27)と夕刊デイリー新聞社の坂本光三郎記者が登壇した。坂本記者は上映前に、写真や映像を示しながら延岡大空襲について説明。自身が学校を訪問して行っている「平和学習」も踏まえつつ話した。

 「戦争を知らない私がみた延岡大空襲」は、2022年に制作した。甲斐さんが、空襲を経験した小並弘子さん(87)と酒井宗喜さん(97)=当時=、寺原八千代さん(94)=当時=にインタビューをして、自身の戦争に対する思いを話している。インタビューを受けた1人である小並さんは、甲斐さんの祖母。空襲で妹の秀子さんを亡くした。

 以前から散歩中などに、空襲時の出来事を孫の甲斐さんに話して聞かせていた小並さん。「ここで秀ちゃんが死んだとよ」「秀ちゃんがなくした右腕の肘から先がここで見つかった」など、家族のこととは思えないほど淡々と語っていたという。

 甲斐さんの「悲しくなかったと?」という問いへの、小並さんの返答は「『悲しさ』に感情がいかなかったね。悲しむ余裕がなかった」というものだった。酒井さんと寺原さんは、戦時下の延岡を「異常な時代」と表現し、「今ある平和は当たり前じゃない」と話した。

 3人が共通して伝えようとしたのは、「戦争が実際にあった時代を生きた人がいると、今の人に知ってほしい」ということ。「もう二度と戦争を起こしてはならない。そのためには知ることが大切だ」と映像の中で訴えた。

 上映後、甲斐さんは「祖母の話を聞く中で『この話を残したい』と思うようになり、戦争を知らない世代である自分の視点から見た戦争を描く番組をつくりました」と説明。

 「戦争って『歴史』じゃなくて、『事実』として起きたことなんだと思わされました」と制作を終えての思いを語り、番組の意図について「生の声を聞くこと自体が難しくなっています。この作品は、これからも制作を通して戦争を伝えていこうと決意した番組です」と話した。

 9日には2回目として、坂本記者が企画した映像作品「語り継ぐあの時代〜延岡大空襲」の上映・解説会を行った。

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