本紙掲載日:2023-07-21
(9面)

にぎやかに夏季例大祭−祇園神社

伝統の森巻神事御神幸行列も−五ケ瀬町鞍岡

スサノオノミコトなどを祭り、古くから「ぎおんさん」として親しまれる五ケ瀬町鞍岡の祇園神社(佐貫勝喜宮司)で15日、夏季例大祭があり、町内外から訪れた家族連れらでにぎわった。

 境内では、ヤマタノオロチをかたどったマカヤを神木に巻き付ける伝統の悪魔退散祈願「森巻神事」に続いて、式典があり、佐貫宮司(84)が祝詞を奏上。地元の鞍岡小学校6年の清原聖姫さん、渡邊裕美さんが巫女(みこ)神楽「浦安の舞」を奉納し、参列者が玉串をささげた。

 〃清めの雨〃が上がるころ、恒例の御神幸祭がスタート。氏子が扮(ふん)するサルタヒコノミコトを先頭に、そろいの衣装を着た鞍岡小の鼓笛隊、鞍岡保育所と県立五ケ瀬中等教育学校による子どもみこし、五ケ瀬中学校のなぎなた・棒術隊などの行列が神社を出立。参拝者や保護者らが見物に詰め掛ける中、祇園テラス鞍楽(旧鞍岡中学校)まで往復約1・5キロを練り歩いた。

 佐貫宮司は「戦争や感染症の脅威が収まり、みんなが幸せに過ごせる世の中になることを願っています。例大祭にも通ずる感謝の気持ちを忘れず、頑張りましょう」と話した。

◆古代神楽太鼓をお披露目−保存会が復古神社に奉納

 この日は、鞍岡祇園神楽保存会(約20人)の秋本治会長(80)が、2018年より復古を試みていた古代神楽太鼓の完成除幕式もあった。佐貫諭禰宜=ねぎ=(64)が打ち初めを行い、同保存会がこの太鼓を使って演舞。太鼓一式を神社へ奉納した。

 鞍岡地区に伝わる神楽太鼓の歴史は1578(天正6)年までさかのぼる。祇園神社に残る古文書「鞍岡祇園神楽の由来」の記述から、それまでクルミの特殊材木を胴に据え、なめした鹿革を鼓面に張った太鼓が使われていたとされるが、大友宗麟(1530〜87年)の焼き打ちで社殿ごと焼失。以降は牛革を張った太鼓が用いられてきた。

 太鼓の復古は、古文書を読んだ秋本会長が「文書にあるような太鼓を再現したい」との思いで着手。白岩山(標高1646メートル)からクルミの巨木(後にシオジの変種である可能性が浮上し、現在調査中)を払い下げ、石川県の浅野太鼓楽器店へ製作を依頼した。

 「牛革は『ドボドボ』と跳ね返りが悪く、強い力で打たないと音が響かない。鹿革は、軽い力で『ポンポン』と弾むように響く。昔の人はこの音を聞き、より優雅に神楽を舞っていたのでは」と、完成した太鼓を従来の太鼓と打ち比べる秋本会長。「時間はかかったが、完成までこぎ着けてうれしい。今後、一層の神楽の保存、継承活動に役立てたい」とほほ笑んだ。

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