本紙掲載日:2023-07-29
(2面)

新型コロナ週刊トピック−5類移行後初、重症者1人

 県の感染症週報第29週(17〜23日)によると、県内で新たに確認された新型コロナウイルスの感染者数は定点当たり24・47人で、前週から17・7%増加しました。26日時点で入院患者は234人で前週からさらに61人増加し、新型コロナの感染症法上の位置付けが「5類」に移行してから初めてとなる重症者が1人報告されました。

◆6圏域が「赤圏域」

 「5類」移行後に県が設けている注意喚起の区分は、県内7医療圏域のうち6圏域が上から2番目の「赤圏域」(基準値=定点当たり20人以上)となりました。

 定点当たりの感染者数は、最多の延岡・西臼杵が35・33人と前週からさらに24・2%増加し、3週連続で赤圏域を継続。日向・東臼杵も同21・33人で9・3%増加し、都城・北諸県(定点当たり24・80人)、西都・児湯圏域(同24・67人)とともに5類移行後で初めて赤圏域となりました。

 ほかに、宮崎・東諸県(同21・78人)と日南・串間(同21・20人)が赤圏域、残る小林・えびの・西諸県(同19・75人)のみ前週の赤圏域から1段階低いオレンジ圏域(基準値=同10人以上)に改善しました。

 都道府県別では佐賀県の同27・44人に次いで宮崎県が全国で2番目に多くなりました。定点報告数の多さは上位7県を九州が占めていて、「第9波」の〃震源地〃となっています。

 県内の定点医療機関から報告された新規感染者数の年代別割合は、多い順に、10〜14歳が19%▼5〜9歳が14%▼5歳未満と40、50代が各9%▼20代と30代が8%▼15〜19歳と60代が7%▼70代6%▼80代以上が4%でした。

◇延岡市、17〜23日の感染者767人−93人の増

 延岡市が独自に集計している新型コロナの週報によると、先週1週間(17〜23日)に協力医療機関から報告された新規感染者数は767人で、前週から158人(25・9%)増加しました。

 日別では、17日67人▽18日179人▽19日147人▽20日142人▽21日118人▽22日81人▽23日33人となっています。増加幅はさらに拡大傾向にあり、今後はさらに加速しそうです。

◇県推計、1日当たり1000人超える

 県が定点報告数を基にした推計で、県内の新規感染者数(17〜23日)は1日当たり1049人となり、「5類」移行後で初めて1000人を超えました。

 県は人口10万人当たりの新規感染者数を定点報告数の30倍と推計しており、県全体の値は人口を概数で100万人(実数は約104万人)と設定して計算しています。

 これに当てはめると、1日当たりの新規感染者数は第25週(6月19〜25日)の310人が第26週(6月26日〜7月2日)は414人、27週(3〜9日)は686人、28週(10〜16日)は891人と右肩上がりに増えています。

 当時は全数把握でしたが、年明けにかけて爆発的に感染拡大した「第8波」では1日当たり988人となった12月上旬に「医療緊急警報」が発令されていて、すでにそれを上回っていることになります。

 感染症が専門の佐藤圭創医師(延岡市新型コロナ対策アドバイザー)は、「5類」移行後は発熱しても検査しない人も増えているなどとして、現在把握できる感染者数よりも「実際は3割増しと考えるべき」と指摘しています。

◇検査キット品薄に

 「5類」移行に伴い受け入れ病床は増え、病院隔離の期間も短くなりましたが、県内では入院患者が急増傾向に入り、重症事例も出始めたことから、医療関係者はさらに警戒感を強めています。

 まだ夏休みに入っていない延岡市では今週、クラスター(感染者集団)の発生で、複数の学級閉鎖が出たほか、職場内感染も増加しています。また、大規模な誘客イベントも増えていて、その後に体調不良を訴えて受診する人も増えているといいます。

 一方、「5類」移行後の生産停止も相まって、全国的に再び抗原検査キットが品薄になってきていて、ヘルパンギーナやRSウイルスなど子どもの感染症の急増で、薬局では解熱剤や喉の痛み止め、総合風邪薬といった市販薬の売り切れも出ているそうです。

 今後の爆発的な感染各拡大に備え、延岡市や医師会は早めに家族全員分の抗原検査キット(政府承認)、薬剤(解熱剤、喉の痛み止め、せき止め、整腸剤など)、1週間程度の食料(特にゼリー状の飲食料)を備蓄し、家庭内での隔離や食事、入浴など自宅療養について家族同士で話し合っておくことも求めています。

◇迷ったら電話相談

 延岡市では医療機関の受診に関する相談や療養中に体調が急変して対処に迷う場合などは県新型コロナ感染症相談窓口(筍娃坑牽機Γ沓検Γ毅僑沓亜■横柑間対応)に連絡するよう呼び掛けています。その他新型コロナ関連の相談は市のなんでも総合相談センター(箟箍20・7105、毎日午前9時〜午後4時)でも受け付けています。

◆延岡市が改めて注意喚起

 延岡市は新規感染者数が急増していることから、26日に市独自の感染状況区分に応じた注意喚起の内容を発表しました。

 市は県とは別に独自に感染者数を集計しており、1週間当たりの報告数により、黄=170人程度▽オレンジ=340人程度▽赤=680人程度▽紫=1700人程度と区分しました。

 今週の報告数は767人でしたので、上から2番目の「赤」レベルとなります。注意喚起としては「オレンジ」の内容に加え、「重症化リスクの高い人との面会等は感染防止対策を強化する(マスク着用、リモート活用など)」「医療機関の受診による感染リスクが高くなるとともに医療機関の負担軽減のため、可能な限り緊急でない受診は控える(定期薬の処方はこの限りではない)」となっています。

 市や市医師会は「深刻な医師不足にある県北の医療を守るため、ぜひ市民の方には現状をご理解いただきながら、適切な行動をお願いします」と呼び掛けています。

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