本紙掲載日:2023-08-10
(6面)

舞台「運命のレシピ」

インタビューに答える西島数博さん

9月3日、日向市文化交流センター

 音楽とダンスによる舞台「運命のレシピ」は9月3日午後4時から、日向市の市文化交流センター大ホールである。前日の9月2日に市駅前交流広場で開かれる有名シェフによる食の祭典「運命のレシピ」の関連イベント。日向文化振興事業団主催。

 出演は世界的アコーディオニストで作曲家のcobaさん、俳優でサックスプレーヤーの武田真治さん、ダンスアーティストで演出振付家の西島数博さん(同市出身)、世界的バイオリニスト古澤巖さん。地元からは歌手小田加奈子さん、ピアニスト富山里紗さん、橘ひょっとこ踊り保存会、ダンサーKHACYさんら。

 俳優の深沢敦さんと小椋あずきさんを案内役に、日本イタリア料理界の先駆者として知られる落合務シェフら有名シェフもゲスト出演する。

 ある人気トラットリア(イタリア語で『大衆向きの小さなレストラン』)の火をめぐる物語。「火を奪う男」と「火をおこす男」が現れ、そこに同市の郷土芸能「ひょっとこ踊り」も加わって。果たして落合シェフ自慢の「悪魔のボロネーゼ」は完成するのか。

 前売りチケットは全席指定の6000円(当日は500円増し)。市文化交流センターなどで扱っている。なお、小学1年生〜18歳は無料招待する(先着500席)。未就学児は入場不可。

 問い合わせは市文化交流センター(筍娃坑牽押Γ毅粥Γ僑隠隠院砲泙如

◇舞台いざなうマルシェも

 舞台へといざなう仕掛けも見逃せない。物語に登場する落合シェフ自慢の「悪魔のボロネーゼ」などを実際に味わうことができるマルシェが、開演前の午前10時から市文化交流センター交流広場で開かれる。

 「悪魔のボロネーゼ」は午後1時から、1食1000円(200食限定)で販売される。舞台チケット1枚に付き食券1枚を購入できる。前売り券あり(今月15日から市文化交流センターで扱う)。

 ほかに、トマト、イワガキ、へべすなどの地元食材を使った食べ物や飲み物のブースも多数並ぶ。こちらは現金購入できる。



◆舞台「運命のレシピ」−西島数博さんインタビュー
スピリチュアルなまち日向−ひょっとこ踊りとバレエ、一緒に!?

 ダンスアーティスト、演出振付家として活躍する日向市出身の西島数博さん(51)に舞台「運命のレシピ」の見どころ、ふるさとへの思いなどを聞いた。

−−音楽劇と表現するべきか。今回の舞台について正直、想像が追い付きません。

僕もいろいろな舞台に挑戦してきましたし、舞台をつくる側でもありますが、食文化と音楽とダンスとお芝居を融合させた今回のスタイルは本当に珍しくて、びっくりしています。落合務さんら有名シェフも舞台に上がります。何が起きるんだろうって、実は僕も「?」が飛んでいます。

−−cobaさん、武田真治さん、古澤巖さんら豪華キャストとの共演です。

僕のお客さんからは「東京公演はいつですか」と聞かれます。これだけのキャストですから、初日は僕の地元日向で、その後に当然、ツアーで各地を回ると思ってしまうわけです。「日向での1回きりの公演です」と返すと「どういうことですか」と驚かれます。

−−cobaさん、武田さんとは初共演と聞いています。

そうです。cobaさん、武田さんとは今回が初共演です。
実は僕、cobaさんの曲を使って何度も踊っていて。盒饗臺總手(フィギュアスケート)のプログラム使用曲だった「eye(アイ)」という、とても有名な曲です。いつか共演できたらと願っていたのですが、まさか地元日向で実現するとは思ってもいませんでした。びっくりしています。
それは武田さんも同じで、共演をオファーさせてもらったこともあったのですが、スケジュールの都合でかなわず、いつかご一緒できたらとずっと願っていました。
とても不思議なご縁で、お二人との共演がこの舞台のために、日向のために取ってあったように感じています。だから僕にとって、この舞台は〃神回〃なのです。

−−日向市の郷土芸能「ひょっとこ踊り」も登場するそうですね。

ひょっとこ踊りというと、街を練り歩くお祭りのイメージが強いですが、それが舞台に上がってくることでどう変化するのか。これはもう、見てみないと分からない世界です。
僕自身も、バレエとひょっとこ踊りが一緒に舞台に上がって、何かを一緒に起こすなんて想像したこともありませんでした。ひょっとこ踊りはひょっとこ踊り、バレエはバレエです。一緒になるなんていうことは、もう全く想像を絶することです。
ですので、cobaさんがそれを形にすると知った時は「これはなかなかな挑戦だぞ」と、そのハードルの高さを感じました。ただその後、cobaさんが書いた脚本に目を通すうち、自分の中で絵が浮かんできて「なるほど、なるほど」と思うようになりました。
まず、食文化が入ってきている時点で通常の舞台ではありません。われわれがやってきた芸術的な舞台とも少し離れた、もはやエンターテインメントの世界なのです。そういう意味では、われわれがひょっとこ踊りの世界に近づいていく、そんなイメージです。
バレエには、どうしてもハードルが高いイメージがあります。それが庶民的な文化に溶け込んでいった時、バレエ文化はもっと浸透し、広がると思っています。
僕はそれを長くやってきました。テレビドラマやバラエティー番組に出演してきたのも、その一環だったわけですから、脚本を読みながら「そうかそうか、これはエンターテインメントなんだ。そういうことなんだな」と理解していって、どんどん想像が膨らんできました。

−−cobaさんは、舞台へといざなうマルシェの開催にもこだわっています。

舞台を見に行くって、ちょっとだけ緊張します。そしてお客さんは、まずは目から入ってくる情報で舞台のイメージをつかみます。
ですから、その日は開演前、会場の外でマルシェを楽しんでもらい、始まりからお客さんをお祭り感覚に変えてしまう。そこから始まることによって、これから見る世界が、すごくリラックスしたものに変わってくるのです。
いつもの感覚とはちょっと違う、そういうものをcobaさんはつくりたいのだと思います。

−−cobaさん、古澤さんをはじめ日向市は多くのアーティストから愛されています。なぜだと思いますか。

僕にとって日向は生まれ育ったまちなので、そこまで客観視はできませんが、宮崎県内でも、日向には他の市町村にない空気感があります。フィーリングというか、スピリチュアルというか。アーティストって、みんなそういうことを感じやすい。だから、このまちに来るとモチベーションが上がるし、良いパフォーマンスができるのです。
僕も昔からそうです。日向の舞台に立つと一番良いパフォーマンスができる。それはすっごい感じていて、どうしてなのかは分かりませんが、このまちには不思議なエネルギーを感じます。
そもそも、そういうスピリチュアルなまちに生まれて育っているので、もう体の細胞にそれが入ってしまっています。だから合わないところに行ったら本当に合わない。それは明確に分かっています。不思議ですよね。

−−最後に、物語の見どころを教えてください。

火にまつわる、ひょっとこ踊りのルーツにも触れる物語です。わいわい踊るだけがひょっとこ踊りじゃない。神懸かり的なものがあるんだよ。そういうことが初めて伝わる、学べる舞台になるのではないでしょうか。
日向にとってとても意味がある、よく考えられている舞台だと思います。


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