本紙掲載日:2023-08-16
(8面)

教育改革の必要性強調

文科省武藤さん招き講演会−延岡市教委

 延岡市教育委員会は2日、延岡総合文化センターで市内の公立小中学校、義務教育学校の教職員を対象にした教育講演会を開き、文部科学省の初等中等教育局学校デジタル化プロジェクトチームリーダーの武藤久慶さんが「なぜ令和の教育改革なのか?GIGAスクール構想なのか?」と題して話した。

 武藤さんは、学習指導要領にこれまで記述のなかった前文が追加された背景として「人口減少・少子高齢化」「グローバル化」など六つを挙げ、教育改革の必要性を紹介。このうち、「人生100年時代」では、今の子どもたちは変化の激しい時代の中で人生が100年あることを強調。今までは教育を受けた後、同じ職場に勤務し退職する3ステージ制が理想とされてきたが、現在では仕事から教育へ再移行するといったマルチステージ制になっているとして、転職やキャリアアップが当たり前となっている現代では教諭がいなくても学ぶ経験や習慣が大事になることを説明した。

 続けて、OECD(経済協力開発機構)の教育政策レビューから、日本の児童生徒はOECD各国の中で成績はトップクラスである一方、学習到達度調査によると、読解力の平均得点と順位は前回より低下したことを紹介。児童生徒はパソコン上での長文読解に慣れておらず、テキストから情報を探し出す問題、テキストの質と信ぴょう性を評価する問題、自分の考えを他者に伝わるよう根拠を示して説明する問題が苦手であることが明らかとなり、これがGIGAスクール構想が始まった背景の一つでもあるとした。

 また、ICT(情報通信技術)を日常的に活用している学校の子どもたちや授業を紹介し、学習レベルが異なり、さまざまな事情を持つ子どもたちの学びが保障できることや指導の個別化なども可能になることを説明。

 さらに、全国の学校を対象にしたアンケートから、ICTを活用したことで対話的な学びの時間が増えたことや、より多くの子どもが積極的に授業に参加するようになったことなどを紹介。最後に「速いスピードで変化する社会の中で、少し先にどんなことが想定されたり議論されたりしているのかを見据えながら、今、目の前の子どもたちの教育に全力投球していただきたい」と呼び掛けた。

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