本紙掲載日:2023-08-24
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新たな救急搬送体制を−新事業が始動

「『空飛ぶクルマ』も見据えた新たな救急搬送体制づくり事業」の第1回検討会

空飛ぶクルマを見据え−実務者が第1回検討会

 延岡市が国のデジタル田園都市国家構想交付金を活用して取り組む「『空飛ぶクルマ』も見据えた新たな救急搬送体制づくり事業」の第1回検討会が22日、市役所講堂でオンラインも交えて開かれ、総事業費約8億4250万円(申請時の概算)の5カ年事業が動き出した。

 同検討会はデジタル技術や、操縦者が機体に乗り込まずに自律制御で飛行するドローン(無人機)で人を運べるようにする「空飛ぶクルマ」を活用し、救急搬送時間の短縮や医療措置の迅速化、救援物資の確実な搬送により、「一人でも多くの命を救う」医療・搬送サービスの実現を目指す。

 併せて、先端医療に挑戦することで医療研修の場としての魅力を高め、意欲的な医師の確保も推進。延岡市をはじめ、宮崎大学、同医学部付属病院、県立延岡病院、市医師会、市防災推進員ら防災有識者、慶應義塾大学大学院のシステムデザイン・マネジメント研究所で構成し、事業の計画から実施、検討・検証までの実務を担う。

 具体的には−、―かる命を増やすためさらなる新技術実装によるQaaS(カース=救急asaService)システムの高度化事業=今年度事業費3399万円◆峩飛ぶクルマ」医療・防災利用促進事業=同6450万円L燭鮗蕕襪燭瓩裡韮稗咼ラウドシステム活用事業=同1500万円−の3本柱に取り組む。

 このうち、「 廚狼澣渕屬療薫翩瑤覆匹縫メラを設置するとともに、患者の生態情報を常時観察・測定し、搬送先の医療機関やドクターヘリと共有できるようシステムを高度化。「◆廚論賁膕箸箘緡邸λ漂甸愀玄圓琉娶を反映した機体の導入や飛行に向けた調査・検討と併せ、市民の理解を図る空飛ぶクルマシミュレーターの整備・展示、ワークショップなどを計画している。

 「」はQaaSシステムをGISクラウドシステムなど地図情報と連携させて運用することで情報集積しながら情報分析を高度化。防災面や、中山間地域の物流インフラや公共交通が途絶した場合なども含めてシミュレーション・実証していく。

 検討会では2027年度末までの数値目標も掲げており−、医療インフラの整備により「人口動態(住民基本台帳)における社会動態」の減少を100人抑制▽救急医療の高度化や災害時対応力の強化で「今までより安心感が高まった」と感じる市民の割合を80%まで向上▽救命救急時の医療体制について「負担軽減が改善した」と感じる医療関係者の割合を100%に向上▽「研修を希望する研修医・医学生の受け入れ人数(延べ人数)」を14人増加−するとしている。

 今年度計画では、10月までに専門知識を有する実働の委託業者をプロポーザル(企画競争入札)方式で選定し、事業実施に向けた事前調査などを実施。空飛ぶクルマについては離着陸場所の予備選考や、来年2、3月に医療・防災関係者を交えた飛行実験も予定している。

 地理的・地形的な理由でドクターヘリと救急車が合流するまでに長時間を要した困難事例の把握にも力を入れることにしており、読谷山洋司市長は「空飛ぶクルマは救急車的な活用だけでなく、ドクターカーやラピッドカーとしての活用も期待されている。一定の人口があってもドクターヘリが降りられない地域や津波での孤立が懸念される地域もあり、早い時期から可能性を探りたい」と話した。

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