本紙掲載日:2023-08-24
(7面)

2重、3重に踊りの輪広がる

5年ぶり、百済の里いだごろ祭り−美郷町南郷

 美郷町南郷の夏の風物詩「第45回百済の里いだごろ祭り」が15日、同町南郷茶屋下駐車場であった。台風とコロナ禍を経て5年ぶりの開催。楽しみにしていた地元住民や帰省客が大勢訪れ、町の民俗文化財であるいだごろ踊りの輪を広げた。同実行委員会主催。

 午前は魚のつかみ取り、午後4時からは計3部のいだごろ踊りをはじめ、地元南郷出身の英二さんによる物まねショーやカラオケ大会、打ち上げ花火が催された。

 いだごろ踊りは、各地区によってリズムやはやしが若干異なっているため、1部は水清谷と神門下区、2部は神門上区と鬼神野、3部は神門下区と渡川の住民が交代で行った。

 ステージ上で三味線と太鼓の演奏にのせて口説き(音頭人)とはやしが歌い始めると、広場には2重、3重と踊りの輪が。「またとれたいだごろじゃ」「ショコホイショコホイ」の音頭に合わせ、老若男女が踊りを楽しんでいた。

 岩田進一実行委員長(48)は多くの来場者を眺めながら「地元はもちろん、帰省客が楽しみにしてくれていた。5年ぶりに開催できてうれしい。南郷の夏はこの祭りがないと」と話し、満面の笑みで踊りの輪へと入って行った。

 「いだごろ」は、宝暦年間(1751〜64)延岡藩警護番の武士、飯田五郎が由来。毎年、美郷町南郷区に派遣されていた飯田五郎が児湯郡木城町の川で捕獲したウグイ(イダ)を持ち帰って近くの川に放流。「魚が増えるまで3年間は取ってはいけない」とお触れを出した。

 それを守った村人たちは、以降、すみ着いたウグイを食べられるようになった。踊りは、魚取りの状況がもとになっており、感謝の気持ちとして「いだ五郎踊り」と名付け、川祭りに魚の供養としていたものが現在の盆踊りとなっている。

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