本紙掲載日:2023-09-30
(3面)

特攻隊長黒木國雄とその父−延岡市立図書館

第20回平和祈念資料展−9月30日開幕

◆「折れた軍刀」「遺書」…戦争語り継ぐ

 「第20回平和祈念資料展」が、9月30日から延岡市立図書館内で始まった。観覧無料。10月22日まで。延岡市教育委員会と夕刊デイリー新聞社主催。

 20回の節目となる今回スポットを当てたのは、延岡出身の特攻隊長である黒木國雄さんとその父肇さんの親子の絆。

 國雄さんは、旧制延岡中学校から陸軍士官学校へと進んだ。太平洋戦争末期の1945(昭和20)年5月11日、特攻隊長として出撃した。

 肇さんは、國雄さんから遺書が届き、息子が出撃した後だと思いつつ、どんな様子だったかを知りたいと鹿児島県の知覧特攻基地へと向かう。すると、もうこの世にいないはずの息子の姿があった。

 5月6日に出撃したものの機体不良で出撃を断念。肇さんが知覧に着いたのは2回目の出撃前夜だった。

 「喜ばしい、母ちゃんやみんなに、いい土産ができた」と息子の出撃を見送った父。会場には、國雄さんの出撃直前の横顔と、息子が乗った特攻機に手を振る肇さんの後ろ姿を陸軍報道カメラマンの小柳次一さんが撮影した写真が展示されている。

 さらに、戦後、GHQが命じた武器の提出・廃棄から逃れるため、肇さんが鍛冶屋に折らせた國雄さん形見の軍刀が、國雄さんの遺書と一緒に展示してある。

 延岡市での展示は、2004年の第1回平和祈念資料展以来19年ぶり。会場を訪れた人たちは、息子を見送った後の父親の心情に思いをはせていた。
また、延岡大空襲で焼失する前の町並みが分かる1941(昭和16)年の延岡市街の地図も展示している。

 開場は、火曜から金曜日までが午前9時から午後7時まで、土・日曜は午後5時まで。2、6、16日は休館。

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