本紙掲載日:2023-10-05
(7面)

ピアノ、音楽に親しむ

たちばな保育園で開催された県立芸術劇場のアウトリーチ事業「ミュージック・シェアリング」
園児たちはピアノの音が鳴る仕組みに興味津々

登録アーティストの佐貫さんが演奏−たちばな保育園

 県立芸術劇場(メディキット県民文化センター)が、地方の幼保園などに出向いて開催するアウトリーチ事業「ミュージック・シェアリング」が9月27日、延岡市岡富町のたちばな保育園(首藤香織園長、110人)で開かれた。同事業の登録アーティスト、佐貫冴美さん(同市出身)が来園し、園のアップライトピアノを軽やかに演奏。普段、園児たちが遊び場として利用している2階ホールに、美しいクラシック音楽のメロディーが響いた。

 演奏会は、県立芸術劇場を訪れる機会が少ない人たちにも同施設の魅力や生の音楽の素晴らしさを伝えようと、2011年からスタート。「集中しやすい時間で」「親しみのある場所で」「少人数で」の〃三つのS〃を基本に、応募のあった施設から抽選し、毎年20公演ほどを行っている。

 今回のテーマは「こころやからだで音楽を感じよう」。会場に集まった3歳から5歳児までの約60人は、手拍子をしたり体を揺らしたりしながら自由に鑑賞し、全身で音楽の魅力に触れた。

 クラシック音楽7曲を披露し、このうち「ソナタK・545より第1楽章」(W・A・モーツァルト作曲)の演奏では、外板を外して、ピアノの内部を特別に公開。園児たちは構造を間近でじっくりと観察し、ピアノの音が鳴る仕組みに興味津々だった。

 また、佐貫さんのトークもあり、園児たちはピアノの鍵盤は白と黒合わせて88個あること、ピアノにはグランドピアノとアップライトピアノの2種類があることなどを学習。演奏会が終わると「強くたたくとビックリするくらい大きな音になったりするのがすごかった」「音が鳴る時、後ろの方がブルブルしていて楽しかった」「ピアノを弾いてみたくなった」と口々に感想を言い合っていた。

 首藤園長は「きょう、皆さんが聴いたのが〃本物の音〃。本物の音は、気持ちが明るくなったり、優しくなったりします。ぜひ、県立芸術劇場で開かれるコンサートや音楽会にも行って、本物の音に触れてください」と呼び掛け。佐貫さんは「たちばな保育園での演奏は初めてでしたが、みんな素直に反応してくれて、子どもたちと一緒に楽しめました。ポップスやジャズと同じように、クラシック音楽も垣根なく気軽に楽しんでほしい」と話していた。

 県立芸術劇場の同アウトリーチ事業は、11月に来年度開催施設の募集を開始する。音楽アウトリーチ事業アドバイザーの桐原直子さんは「アウトリーチを通して、音楽の素晴らしさを次の世代につなげていきたい。幼保園だけでなく福祉施設、小中学校からの応募もお待ちしています」と呼び掛けていた。

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