本紙掲載日:2023-10-16
(2面)

どうする担い手不足

五ケ瀬町建設業協会が開いたフォーラム

建設業の未来考えるフォーラム−五ケ瀬町

 五ケ瀬町建設業協会(辻勢津也会長、14社)の主催フォーラム「The!討論会〜五ケ瀬の建設業の未来を考える」が14日、同町三ケ所の町民センターであった。地元の建設関連企業に勤める従業員ら約100人が、基調講演や討論会を通じてより良い業界像を思案した。

 技術者や作業員の高齢化、就業率低下といった諸問題について議論し、業界の発展や地域活性化へつなげようと初開催。

 昨年10月の開催を予定していたが、直前の台風14号の影響で延期されていた。この日は、宮崎大学大学院教授の熊野稔さん(64)が「町の社会基盤整備についての考察と提言」、県西臼杵支庁土木課長の中武博さん(52)が「建設行政の動向と展望」と題して講演後、会員企業4社の社長を交えた討論会が行われた。

 熊野さんの進行で各社現状と課題、経営理念などを述べ、共通課題である「担い手不足」について議論した。

 企業側の取り組みとしては、「若い世代に対する資格取得サポート」「県立高千穂高校で開かれる企業説明会への参加」などが挙がった。

 熊野さんは、いずれも若い世代の人材確保に向けた取り組みであることを指摘。町外で経験を積み、キャリアの終盤を五ケ瀬町にささげる意思を持ったベテランの受け皿づくりを提案した。

 社長側からは「建設業従事者には求められる資格が多く、取得までを考慮して若手を求めている側面もある。十分な資格を保有し、五ケ瀬町のために働きたいという人材なら年齢は関係ない」と回答。実際に50〜60代のUターン就職を受け入れた実績を明かす社長もいた。

 アドバイザーとして登壇した中武さんは、幼少時から建設業に興味を持ってもらうため、管内で行っているPRイベント「『土木の日』ふれあい祭り」への参加や、資格取得サポートに役立つ補助金の活用を勧めた。

 これに対し「建設業志望者は多くないのが実情であり、積極的に魅力を発信してこなかった責任を感じていたところ」と応じた社長は、加えて、建設業に興味がある若者を支援する奨学制度の立ち上げを提案。「就業後だけではなく、就業しやすい環境を整えることも重要」と訴えた。

 また、五ケ瀬ハイランドスキー場へ続くアクセス道をはじめ、町内各所に今なお残る甚大な被害をもたらした14号について「各社全力で復旧に努めている。町民の皆さまに一刻も早く安心安全な生活を届けられるよう頑張りたい」と思いを吐露する場面もあった。

 辻会長は「このフォーラムで得た経験を通して、建設業および産業振興の契機とし、安心安全な地域生活の実現に貢献する。同業間で切磋琢磨(せっさたくま)しながら、地域の守り手として有り続けたい」と話した。

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