本紙掲載日:2023-10-30
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「県北の医療に貢献したい」

発達障害児の対応などについてアドバイスする松田医師

小児科医・松田光展医師延岡市出身

 延岡市から大分県内の医療型障害児入所施設に勤める傍ら、ふるさと延岡を中心に県北を週1回巡り、発達障害児の療育支援相談を行う小児科医がいる。保育園や小学校を訪れて保育士や教師の声を聞き、対応方法などに関して適切な助言を伝える。「延岡、県北の療育支援の役に立ちたい」と話す。

◆約20年勤めた東京の小児療育病院を退職

 大分県臼杵市の社会福祉法人聖母の騎士会が運営する「恵の聖母の家」外来医長の松田光展さん(52)=延岡市島浦町出身=。2003年6月から約20年勤めた東京小児療育病院(東京都)を退職し、昨年帰郷した。

 現在の職場は以前勤務した施設で、医師の定年退職で閉鎖になっていた小児外来の再開を請われ、昨年4月に赴任した。

◇延岡から臼杵に通勤金曜日は県北で活動

 以降、月曜から木曜日は延岡市から大分県臼杵市の施設に通勤し、小児外来診察や同県内の検診事業、巡回療育相談に当たる。

 金曜日は「九州に帰ってきたのに地元に何も還元できない」との思いから、勤務先や延岡市などの理解と協力で、ふるさとで療育支援などの活動をしている。

◇東京の経験を生かし延岡でも支援者支援

 東京小児療育病院勤務時代には、外来や病棟で発達障害や重篤な脳性まひなどの障害児の医療・療育に当たる一方で、専門家を保育園や学校に派遣し、子どもに接する保育士や教師を支援する都の地域療育等支援事業を通して「支援者支援」に力を入れた。

 「週1回で延岡や県北の療育支援にどう貢献しようか考えた時、この形が良いと思った」

 現在は、宮崎県の障がい児等療育支援事業の受託事業者などと連携・協力し、訪問療育相談による助言のほか、講演会で発達障害の正しい理解と適切な支援を伝えるなどしている。

◇ゆくゆくは引き継ぎ地域の体制づくりを

 「私の体は有限。ゆくゆくは引き継いで地域でみる体制をつくってほしいという思いが強くある。講演活動で使うスライドなどもすべて共有したい。2年目なので大きなうねりにはなっていないが、こうした取り組みが広がってくれれば」と期待し、今後を見据えている。

◇職員の相談に耳傾け的確な助言を伝える

 延岡市内の保育施設であった相談会では、職員から落ち着きなく集中力が続かない子どもや、気持ちの切り替えや集団ルールへの適応が困難な園児への対応に関する相談があり、松田さんは職員の話に耳を傾けて子どもの行動を観察し、的確なアドバイスを伝えていた。

 相談した保育施設の職員は「専門家の的確なアドバイスを受けることで頭の中の不安やモヤモヤが晴れる。助言通りに対応して伸びている子どももいるし、職員もスキルアップの良い機会にもなる。ドクターの言葉は安心できる」と心強さを感じていた。

 松田さんは、今後も延岡市や西臼杵地区で保育施設や学校への訪問相談のほか、希望があれば県北地域で療育に関する講演会を行っていくという。訪問相談や講演会を希望する場合は、県障がい児・者「そうだんサポートセンターはまゆう」(℡延岡20・0177)。

【プロフィル】松田光展(まつだ・みつのぶ)。延岡市島浦町出身。延岡東高、大分医科大学(現・大分大学医学部)卒。1996年4月に同大小児科に入局。同大学病院や国立療養所宮崎病院など、九州の医療機関で7年間勤務した後、2003年6月から東京小児療養病院で約20年勤務し、診療部長や地域支援センター長などを歴任。昨年4月から現職。

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