本紙掲載日:2023-10-31
(1面)

当事者が悩みや苦労を語る

講師を務めた太田さんと益満さん

障害のある兄弟姉妹を持つきょうだいも支える地域に

◆SUNクラブひまわり主催

 障害のある兄弟姉妹を持つ「きょうだい児」をテーマにした講演会が21日、延岡市野地町の延岡しろやま支援学校地域教育支援センターであった。主催は、乳児から成人期までの療育・支援事業に携わっているNPO法人SUNクラブひまわり(田村智佐枝理事長)。講師は、自身がきょうだい児である太田信介さん(49)と益満ひろ士さん(29)。約110人の福祉関係者や民生委員児童委員、地域の人らが参加し、きょうだい児としての悩みや苦労などを聞いた。

◇経験を聞いてポジティブに

 太田さんには自閉症のある7歳離れた弟がいる。小学生の頃から「自分がしっかりしないと」という使命感を感じたり同級生にからかわれたりしていた。
心配を掛けたくないという思いから親に悩みを相談できず、家族との旅行や自身のことが後回しになったことで「寂しさはゼロではなかった」と太田さん。「『悩みがあったら言ってね』といった相談できる環境がいかに幼少期の時につくれるかが大事」と呼び掛けた。

 「弟のことを話したくない」と地元の福岡県から離れ、熊本県の大学へ進学して就職。30歳の時に、仕事や人間関係がうまくいかない時に弟のせいにしていたと気付いたことが転機となり、34歳で結婚。画家として活動する弟と仕事ができるよう、37歳で絵画販売や絵画レンタルなどの事業を行う企業を立ち上げた。

 また、全国きょうだいの会事務局長や福岡きょうだいの会副会長を務め、講演会で自身の経験を紹介している。

 「自分の経験を聞いて一人でも多くの人がポジティブになってほしいと思って活動しています。このような経験を聞ける機会が広がれば」と話した。

◇両親の言葉が心の支えに

 益満さんには、ほぼ女児のみに発症する進行性の神経疾患のレット症候群のある2歳離れた妹がいる。車椅子で外出する妹から離れたいと思っていたことや、妹や家族の将来について悩むこともあった。

 そんな中、両親から言われた「思いやりがあるね」「やりたいことをできることは幸せ」という言葉が心の支えになり、妹の存在が益満さんの受験や部活動などの原動力になったという。

 また、作業療法士である益満さんがこれまでに療育施設で出会ったきょうだい児を紹介。

 きょうだい児の行動のタイプを挙げた。

▽早熟化して良い子に見える「親代わりする子」
▽勉強やスポーツなどで肩代わりする「優等生になる子」
▽家族とは別の生活、行動をしていると感じる「退却する子」
▽敵意や憤りなど心の負担を行動で示す「行動化する子」
益満さんは「すべてに配慮が必要で、それを理解することが大事」と呼び掛けた。

 講演後、「地域の中できょうだいも支える」をテーマにしたワークショップもあり、参加者は太田さんと益満さんと議論を交わした。

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