本紙掲載日:2023-11-03
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誰一人取り残さない社会

人権・ジェンダーを考えるセミナー

 あらゆる差別や偏見の解消を図る「延岡市人権セミナー」の第1回が10月27日、延岡市のカルチャープラザのべおかであった。主催は市、市教育委員会、市人権啓発推進協議会。

 鹿児島県男女共同参画審議会の、たもつゆかり会長が「誰一人取り残さない!持続可能な社会の実現を目指して〜人権・ジェンダーについて考える」と題して講演。視覚、聴覚に障害を持つ人や市の職員など約200人が来場し、真の平等とは何か考えた。

 たもつさんはまず、性別には生物学的性別「セックス」と、社会によってつくり上げられた性別「ジェンダー」があると説明。誰一人取り残されない地域社会の創生には「ジェンダー」の視点が必要不可欠と呼び掛けた。

 延岡市が2019年に実施した意識調査で、「社会が男女平等である」と答えた人の割合は16・3%にとどまった。その上で、男性が市場で有償労働し、女性が家庭で無償労働するといった高度経済成長の過程で形成された古典的なシステムが、現在の共働き世帯の壁になっていると指摘。

 「昨今はシングル(独身)の世帯も増えている。社会のシステムについて、いま一度クールに考え直していく必要がある」と話した。

◆誰もが多様な性の当事者

 また、過労死などを例に「男女関係なく、個人として働きやすい社会でなければ、真の男女平等とは言えない」と強調。「人は必ずしも男性と女性に二分されるわけではない。私たちは誰もが多様な性の当事者」「人格の主体である個人が、ジェンダーにとらわれることなく、個性と能力が発揮できる社会にしていかなければならない」と話した。

 同セミナーは来年1月25日まで、残り3回を予定している。いずれも手話通訳あり。

◇16日は「インターネットと人権」

 次回は、16日にカルチャープラザのべおかハーモニーホールで、宮崎公立大学人文学部の井田志乃准教授が「インターネットと人権」をテーマに講演する。問い合わせは社会教育課(箟箍22・7032)。

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