本紙掲載日:2023-11-06
(3面)

認知症高齢者の捜索を訓練

ようやく保護できた行方不明の高齢者役を連れ帰る訓練参加者(延岡市北浦町古江)

延岡市北浦・地区社協など

◆一般の人の情報提供が重要

 加速する地域の高齢化に伴い、行方不明となる認知症高齢者が増加する中、延岡市社会福祉協議会の北浦支所と北浦海岸地区社協、三川内地区社協は10月29日、捜索訓練を行い、関係機関と地域の連携を強化した。

 北浦地区は高齢化率が44%を上回り、認知症高齢者の見守りにも支障が生じている状況。実際に行方が分からないまま長期間見つからない事案も起きているという。

 このため、地区社協は認知症に関する知識を啓発し、地域全体で高齢者を支えようと、2001年から訓練を重ねている。

 訓練は、古江地区と宮野浦地区の高齢女性が自宅からいなくなり、家族や介護職員が警察へ連絡した想定で開始。社協職員や地元消防団、地域住民ら計約60人が数人ずつ地域に分散し、トランシーバーや携帯電話でやり取りしながら徒歩で目撃情報を集め、身体的特徴や着衣などが該当する人を捜索した。

 関係者には、あらかじめ登録しているスマートフォンなどへ電子メールが届くアプリ「どこシル伝言板」や、配布された顔写真で情報を共有。捜索地域には防災行政無線で不明者の情報を発信して広く情報提供を呼び掛けた。

 それでも不明女性はなかなか発見できず、捜索は難航。意外にも多くの人が捜していた町中心部付近にいたことが分かり、参加者は人捜しの難しさを実感していた。

 警察庁によると、昨年1年間に届け出のあった行方不明者8万4910人のうち、「認知症やその疑い」は1万8709人で全体の22%に上り、10年前(12年)の9607人からほぼ倍増している。

 北浦海岸地区社協の日髙広道会長は「消防団だけで見つけることは非常に困難。いざという時に一般の人から情報をいただける環境をつくっていきたい」と訓練を重ねる意義を語った。

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