本紙掲載日:2023-11-07
(3面)

矢野喜左衛門をしのぶ

恒富公民館の頌徳碑前で行われた矢野喜左衛門の頌徳祭

恒富用水路開削などで功績−延岡市

◆子孫や関係者、頌徳祭で感謝−

 須輪間井堰(すわまいぜき)を築いて恒富用水路を開削した矢野喜左衛門の頌徳(しょうとく)祭が4日、延岡市の恒富公民館にある頌徳碑前であり、主催した喜左衛門の9代目子孫・拓豊さん(72)と妻の光代さん(71)をはじめ、用水路の恩恵を受けた近隣8地区の区長ら約30人が出席して功績をしのんだ。

 春日神社の木村健男宮司による神事が執り行われ、出席者は玉串をささげてその遺徳に思いを寄せた。拓豊さんは「温故知新、昔の人たちの努力を見詰めて今の世にも役立てていくことが大切」とあいさつ。臨席した読谷山洋司市長は「喜左衛門さんの志を継いで暮らしと経済を支えていかなければならないと気合を入れていただいた」と話した。

 矢野喜左衛門は、藤江監物や江尻喜多右衛門(きたえもん)の尽力で岩熊井堰・出北用水路が完成(1734年)した後もかんがいの及ばなかった地域の窮状を憂い、私財を投じて須輪間井堰・恒富用水路の設置工事に着手。73年、自身が30歳の頃に完成させると、その恩恵を受けた地域は古城、本村、下出口、伊達、浜、平原、惣領、浜砂の8村落にわたった。

 喜左衛門は用水路開削に寄与した先賢8人の一人として、監物らとともに同市出北の出北観音堂に合祀(ごうし)されており、同所では毎年旧暦の8月17日ごろに慰霊祭が開かれている。

 また、地元の恒富町は1937年、恒富公民館敷地内に頌徳碑を建立。毎年、田植えが終わりを迎える7月に頌徳祭を開催してきたが、今年から主催を矢野さん夫妻に引き継ぎ、併せて開催時期を喜左衛門の祥月である11月に変更した。

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