本紙掲載日:2023-11-16
(7面)

京都大、九州大と協働し活動

教養講座で防災学ぶ生徒たち−五ケ瀬中等

 創造的活力や心の豊かさなどを育もうと、県立五ケ瀬中等教育学校(平和正校長、217人)は、部活動が休みの日の放課後を活用し、学校教育や部活動以外について学ぶ「教養講座」を開いている。希望する生徒を対象とし、学期ごと(4〜10月上旬、10月中旬〜3月)に芸術、学習、運動系といったさまざまな講座を開講。このうち「先端技術(デジタル)×現地調査(リアル)で探究する宮崎の防災講座」を受講している1〜5年生10人は8日、京都大学および九州大学と協働し、校内に研究用の強震計と高感度地震計を設置した。

 五ケ瀬中等教育学校は今年度から、文部科学省の「新時代に対応した高等学校改革推進事業(創造的教育方法実践プログラム)」指定校に選出。遠隔地の大学や研究機関などとコンソーシアム(共同事業体)を組織し、先端技術等を活用した教科横断型カリキュラムの開発に取り組んでいる。

 この取り組みの一環として先月、同講座を開講。京都大学防災研究所宮崎観測所の山下裕亮助教(38)、九州大学大学院人間環境学研究院の杉山高志准教授(33)を外部講師に迎え、社会科学と理学的視点に基づく助言の下に活動を始めた。

 この日は観測地震学を専門とする山下助教が中心となり、中庭に微小地震を検知する高感度地震計、空き教室に震度を計測する強震計を設置。地震計は3成分(3次元空間のXYZ)のセンサーを備えていることから、それらを直交する南北、東西、上下方向にそろえる必要性を教わり、協力しながら取り付けた。

 今後は、観測した地震波形の分析データやGIS(地理情報システム)を併用して選んだフィールドを調査。京都大学防災研究所などが共同開発した個人用避難訓練アプリ「逃げトレ」を活用した避難訓練等を通じて防災への理解を深める。

 後期課程(4年生以上)の生徒については来年3月までに研究成果をまとめ、同月に東京都で開かれる日本地理学会の高校生ポスターセッションで発表する予定という。

 3年生の田上葵さん(14)=宮崎市出身=は「実家が津波の被害を受けそうな場所にあり、家族が防災に詳しくないため、緊急時に助けられるよう知識を習得したい。地理が好きで学校の先生にも憧れているので、そういう意味でも将来に役立てたい」と話した。

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