本紙掲載日:2023-11-28
(2面)

放牧「知識を伝えたい」−岩田さん(日之影)

知事と話す岩田夫妻

大日本農会から緑白綬有功章−知事に受章報告

 大日本農会(総裁・秋篠宮文仁皇嗣殿下)から、2023年度農事功績表彰者として緑白綬有功章を受けた日之影町の肉用牛繁殖農家岩田篤さん(72)が24日、県庁を訪れ、河野知事に受章を報告し、抱負を語った。

 宮崎大学農学部獣医学科卒の岩田さんは、西臼杵郡畜産農業協同組合連合会(現JA高千穂地区)を55歳で退職した後、実家の繁殖経営を継ぎ、耕作放棄地約10ヘクタールを約20年かけて開拓。現在、20頭を放牧で育てている。

 多くの農家が飼料高騰の影響を受ける中、放牧で餌の低コスト化やふん尿処理、削蹄(さくてい)の省力化を実現。遊休資源を生かす取り組みは、中山間地域の景観保全や活性化にも寄与するとして注目を集め、県内外から毎月約4団体が視察に訪れている。

 岩田さんは「今後は知識を伝えていきたい」と抱負。時間のかかる放牧場の整備を行政などが行い、リースする仕組みの必要性にも言及し、持続可能な農業の実現に向けて「粘り強く提案していきたい」と意気込んだ。

 同伴した妻の照代さん(73)は、表彰式後の祝賀会で秋篠宮殿下と会話したことに触れ、「牛を養って良かった」と笑顔。放牧については「牛舎での世話に比べると楽。牛も人間も山でのんびりしている」と話していた。

 県畜産振興課によると、2021年度時点で県内の肉用牛の生産農家5200戸のうち、99戸(総面積234ヘクタール)が放牧で飼育しているという。

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