本紙掲載日:2023-11-29
(3面)

デイリー健康大学日向会場(上)

ロコモについて講話する関本院長

「ロコモってなぁに?目指そう!健康長寿」せきもと整形外科・関本朝久院長

 公益財団法人デイリー健康福祉事業団(松下勝文代表理事)の第28期デイリー健康大学日向会場第2回講座がこのほど、日向市文化交流センターで開かれました。せきもと整形外科(日向市財光寺)の関本朝久院長が「ロコモってなぁに?〜目指そう!健康長寿」をテーマに講演しました。要旨を掲載します。

◆「運動器」障害に要注意−早期発見、早期治療、予防が大切

 日本の人口は1億2442万人で、うち65歳以上の人口は3623万人。割合としては29・1%(県は33・5%)で世界第1位の高齢化率となっています。平均寿命は女性87・57歳で世界1位、男性81・47歳で世界3位の長寿国です。

 一方、心身共に自立した活動状態である健康寿命と平均寿命の差は、男性は9年、女性は12年。要するに介護が必要だったり、寝たきりの期間が女性では12年あるということです。現在、要支援、要介護者は全国に700万人で今後も増えると予想されています。

 2019年の厚生労働省で集計された要支援、要介護になった原因で一番多いのは「運動器」の障害です。運動器は骨や関節、筋肉、神経など体を支えたり動かしたりするための器官です。

 07年に日本整形外科学会は、運動器の障害のため移動機能が低下した状態のことを「ロコモティブシンドローム(略称・ロコモ)」と名付けました。運動習慣のない生活、痩せすぎや肥満、骨粗しょう症の進行なども指します。これらは進行すると介護が必要になるリスクが高まります。

 ロコモは病気になる前の状態から始まっていますが、早いうちにストップをかけ、悪循環を断つことが非常に重要です。

 国の調査によると、病気やけがなどの自覚症状のある者(有訴者)の上位症状は、男女ともに腰痛が1番で2番が肩凝り。そのほか手足の関節、膝の痛みと続きます。

 一方、何の病気で通院しているかという調べでは、男女共に1番は高血圧、2番は男性が糖尿病、女性は脂質異常症です。腰痛は女性の5番目に出てきます。

 要するに腰が痛い、関節が痛いなど、いわゆるロコモが始まっている状態にもかかわらず病院には行っていないということです。運動器の疾患も早期発見、早期治療、予防が本当に大切です。おかしいなと思ったら整形外科を受診してください。

【プロフィル】日向市出身。日向高、宮崎医科大学卒、熊本大学大学院修了。1992年に宮崎医科大学整形外科入局後、熊本大学医学部、谷村病院(延岡市)に勤務し、2020年に宮崎大学医学部付属病院を学部准教授で退職。同年、せきもと整形外科を開院。医学博士、日本整形外科学会専門医・指導医、ロコモアドバイスドクター。56歳

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