本紙掲載日:2023-12-02
(3面)

岡富中生はどう考える

伊能さんから当時の延岡の様子を学ぶ岡富中2年生

法学博士・伊能秀明さん問い掛け授業

◆幕末から明治維新の延岡を想像する

 延岡市立岡富中学校(三樹浩二校長)で11月30日、「歴史と文化の再発見・高めよう郷土愛」プロジェクトの一環の特別授業が行われた。2年生109人を対象に、元明治大学博物館事務長で法学博士の伊能秀明さん(70)が「明治維新と延岡―岡富中生はどう考える」と題して講話をした。

 藤田一松の回想記復刻本「思ひ出(い)づるまゝ〜延岡出身、或る慶應義塾教員の回想」を引用し、生徒に質問しながら話した。

 江戸時代末期の延岡の様子を表した文では、殿様が道を通る際は露払いによる「下に下に」という掛け声があったほか、通り掛かりの人が道路に土下座をして頭を下げる様子が書かれている。

 伊能さんは「もし殿様の前に飛び出してしまった人がいた場合、どのような状況を想像しますか」と問い、「大騒ぎになり、刀を抜かれる場面もあり得たと思います」と説明した。

また、明治維新は「国の在り方を変えた一連の変革」とし、さまざまな藩で優れた人物がいたことを紹介。延岡藩に延岡社学を設け、後に亮天社と改称して教育の充実に力を入れた原時行を挙げた。

 なぜ原が教育に力を入れたのかについて伊能さんは「教育こそが人づくり。原は、貧しさから抜け出す道は教育にあると考えたのでは」と推測。

 さらに「学ぶことで考える力が身に付きます。考える力があれば課題を解決できる。つまり、考える力は生きる力になります」と話した。

 最後に、伊能さんは多くの人は持っている可能性を生かしきれていないことから「あるものを生かせ」、やる前にできない理由は必要ないことから「ないものを数えるな」の二つを伝え、生徒と一緒に声を合わせた。

 生徒会副会長の甲斐仁貴さん(13)は「『あるものを生かせ』『ないものを数えるな』という言葉が印象に残った。その言葉を胸に、これからの生徒会の活動を頑張りたい」と話していた。

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